アートインプレッション

株式会社アートインプレッションは、美術展の企画を主な業務としている会社です。

明日への祈り展 ラリックと戦禍の時代

2022-07-20 17:11:06 | Weblog

明日への祈り展 ラリックと戦禍の時代


「明日への祈り展 ラリックと戦禍の時代」 箱根ラリック美術館 チラシ表面



みなさまこんにちは
暑い日が続いておりますが、お元気でしょうか?

弊社スタッフは先日、打ち合わせで箱根ラリック美術館にお邪魔し、開催されていた「明日への祈り展 ラリックと戦禍の時代」を鑑賞してまいりました

同館は、フランスの代表的なガラス工芸作家ルネ・ラリック(1860-1945)の宝飾品を含むガラス作品を所蔵している美術館です。ラリックの作品はもちろん、展示空間からも当時のアール・ヌーヴォーやアール・デコの雰囲気を存分に味わうことができます

そして、現在開催されている「明日への祈り展」は、ラリックの創作活動にも大きな影響を及ぼした20世紀の戦争と感染症がテーマとなっている展覧会でした。

第一次世界大戦真っ只中。戦時用品の製作を強いられ、作品をつくることが困難となっている頃、ラリックは国会などの要望を受けて、兵士や戦争孤児、また当時流行していた感染症である結核を患った人々のためにチャリティーイベント用のブローチやメダルを制作します。

丸や四角、十字の形をしたブローチとメダルには、兵士や看護師、女性や子供の姿が描かれており、その売り上げは困窮者へと寄付されました。

ラリックが手がけたブローチとメダルは、現在の赤い羽根共同募金のような役割を果たしていたのですね

また、アザミをモチーフにしたブローチも印象的でした。

フランスは普仏戦争に敗れた際、ロレーヌ地方をドイツに割譲したという歴史がありますが、そのロレーヌ地方を象徴する花こそアザミであり、ラリックはこの花をモチーフにした作品を多く制作しています。

アザミの花に見立てられた六角形のアメジストはとても透き通った紫色で、アザミ特有のトゲがたくさんある葉の部分もガラスで忠実に再現されており、その繊細な魅力に引き込まれました


また、象牙と金でできた二人の女性の半身像のブローチは、小さいサイズながらも輝きを放っており、女性たちの穏やかな表情がとても神秘的で美しかったです

「明日への祈り展 ラリックと戦禍の時代」はラリックの知られざる一面を垣間見ることのできる貴重な機会となっております

11月27日まで開催中ですので、ぜひみなさまも箱根ラリック美術館を訪ねてみてください



箱根ラリック美術館

●会期 2022年3月19日(土) 〜 11月27日(日)

●開館時間 9:00 〜 16:00(入館は15:30まで)

●休館日 毎月第3木曜日(ただし8月は無休)

●入館料 大人1,500円/大学生・高校生・シニア(65歳以上)1,300円/中学生・小学生800円

●住所 〒250-0631 神奈川県足柄下群箱根町仙石原186-1

●電話番号 0460-84-2255

●アクセス

<小田急ロマンスカー・電車・バスをご利用の場合>
◆箱根登山鉄道「箱根湯本駅」より、箱根登山バス「湖尻・桃源台」行きにて約30分「仙石案内所前」下車すぐ
◆新幹線・JR「小田原駅」より、箱根登山バス「湖尻・桃源台」行きにて約45分「仙石案内所前」下車すぐ
◆ 小田急箱根高速バス「新宿駅」より約120分「箱根仙石案内所」下車すぐ
◆小田急箱根高速バス 羽田線
  「羽田空港」→「横浜駅」→「御殿場駅」→「箱根仙石案内所」
  「羽田空港」よりおよそ150~165分。「箱根仙石案内所」下車すぐ
<お車をご利用の場合>
◆東名御殿場I.C.より乙女峠経由、仙石原まで約20分

●HP 
http://www.lalique-museum.com/


津田青楓 図案と、時代と、展

2022-07-04 17:01:46 | Weblog

津田青楓 図案と、時代と、

 

津田青楓 図案と、時代と、」展 渋谷区立松濤美術館 チラシ表面

 

みなさまこんにちは
いかがお過ごしでしょうか?

弊社スタッフは先日、渋谷区立松濤美術館にて開催中の津田青楓 図案と、時代と、」展の内覧会にご招待いただき、一足早く鑑賞してきました

津田青楓は明治13(1880)年に京都で生まれ、以降日本画、洋画、工芸、書など様々なジャンルで力を振るった作家。

明治30年代には工芸品を作る際の下絵を集めた図案集を数多く出版し、大正時代には名だたる作家たちの本の装幀も手がけたことで知られております

そして本展は、青楓の図案集や図案に関する作品がメインとなっている展覧会

作品は動植物が描かれているものが多かったのですが、それらはどれも色鮮やかで美しく、まるで本物のように生き生きとしていました

また鳥好きの私としては、本展でたくさんの素敵な鳥たちと出会うことができたのも大変興味深かったです

青楓が装幀を手がけた本はとても可愛らしく趣があり、本を読むのが苦手な方もついつい手にとってしまうような魅力的なデザインがたくさんありました

中でも夏目漱石の『道草』の装幀(表紙と箱)は、花と葉、そして鳥が絶妙に配された造形美が目を引きましたし、この手の込んだ青楓による装幀には大変な費用がかかったという裏話も印象的でした

作品によって世界観が異なる図案。みなさまもお気に入りの作品がきっと見つかるはず

「津田青楓 図案と、時代と、」展は、渋谷区立松濤美術館にて8月14日(日)まで開催中ですので、ぜひ訪れてみてください



渋谷区立松濤美術館

●住所

〒150-0046 東京都渋谷区松濤2-14-14

●電話番号

03-3465-9421

●会期

前期:2022年6月18日(土)〜2022年7月18日(月・祝)
後期:2022年7月20日(水)〜2022年8月14日(日)

●休館日

月曜日(ただし7月18日を除く)、7月19日、8月12日

●時間

特別展期間中:午前10時〜午後6時(ご入館は午後17時30分まで)
公募展・サロン展期間中:午前9時〜午後5時(ご入館は午後16時30分まで)
※2020年8月から当面のあいだ、夜間開館中止

●入場料

□一般800円(640円)、大学生640円(510円)、高校生・60歳以上400円(320円)、小中学生100円(80円)
※( )内は渋谷区民の入場料
※土・日曜日、祝休日は小中学生無料
※毎週金曜日は渋谷区民無料
※障がい者及び付添の方1名は無料

□リピーター割引
観覧日翌日以降の本展会期中、有料の入館券の半券と引き換えに、通常料金から2割引きでご入館できます。

□土・日曜日、祝日・最終週は「日時指定予約制」 → ご予約はこちら


●アクセス

〈電車〉
京王井の頭線 神泉駅下車 徒歩5分
JR・東急電鉄・東京メトロ 渋谷駅下車 徒歩15分

〈バス〉
ハチ公バス 「松濤美術館入口」下車 徒歩2分/「東大前」下車 徒歩2分
東急バス 渋55「東大前」下車 徒歩2分
京王バス 渋60・61「東大前」下車 徒歩2分/渋60・61「東急百貨店本店前」下車 徒歩5分
都営バス 渋66「東急百貨店本店前」下車 徒歩5分

●HP

https://shoto-museum.jp/