駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

あなたは印象派?

2008年02月26日 | 診療
 落語の枕だったか、歯医者さんが通りで患者さんに挨拶され誰だか分からず、「どなたでしたっけ、ちょいと失礼」と口の中を見せてもらって、「ああ小沢さんですか、お変わりありませんか」とゆうのがあった。確かに病気や病態が思い浮かぶのだが名前が出てこないことはよくある(よくあるようになった)。患者さんの方は二、三年に一度、風邪や腹痛で受診する程度でも、医者のことは印象に残るようで、デパ地下などで会釈されたりする。こちらの方は、なんとなく患者さんなんだろうなと、よくわかりもせず中途半端な会釈を返すことはよくある。そんな時もだぶん、診察室の椅子に腰掛けてもらえば思い出せると思う。
 そうはいっても不思議なことだが、明らかに印象には濃淡がある。たった一回受診されただけでも、数年後に再受診された時、ああこの患者さんねと鮮明に憶えている人と、カルテを見てももうひとつピント来ない人とがいる。不勉強で記憶の大脳生理の新知見には不案内だが、この想起には何か感情が絡んでいるのは間違いないと思う。診療とは直接関係なく、感じが良く楽しい思いをした、高飛車で嫌な思いをした、というようなことがあるとどうも良く憶えているようだ。そこまではっきりしなくても、ちょっとした仕草や表情の特徴に心が動く(あの人に似ている、眠そうに見えるなど)とそれが印象に残って、思い出すきっかけになるらしい。そして多少は差があっても、大抵はスタッフも同じような印象度を持つようだ。総じて印象に残る人はいわゆる派手な人個性的な人が多く、大人しい控えめな人は印象が薄い。
コメント
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