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駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

遅れて来たイタリアン

2008年04月15日 | 旨い物
 学生時代のナポリタンといえば、既に茹でて絡まっているスパゲッティを一塊り摘み上げ、おもむろにほぐしながらバターで炒め、タマネギとピーマンやシャンピニオンを少し加え、最後にトマトケチャップで和えて出来あがり、コッテリとそれなりに美味しかった。脇見をしながらでも食べられ、牌を摘んでいる時など結構人気があった。それが二十年くらい前から、徐々に本格イタリアンが出現、茹で上げが主流となった。今では昔懐かしいベトベトナポリタンは絶滅危惧種になりつつある。
 40年前には本格的なイタリアンレストランは少なく、圧倒的にフレンチが多かった。もっともどちらにも自前で行ったことはなく、一人前何千円なんて食事があること自体、不思議だった。
 今ではフレンチよりもイタリアンレストランの方が多くなった。イタリアンが出遅れたのはたぶん和風スパゲッティがイタリア料理の代表と思われ、レストランで食べるほどのものではないと見なされたからだろう。1980年代になって海外旅行が手軽になり、イタリア滞在経験者が増えるにつれ、イタリア料理の素晴らしさがわかり、テレビなどマスコミで紹介されイタメシブームが起きた。味もさることながら、お値段もフレンチよりややお手軽なのも、ブームに拍車をかけたのだろう。
 味覚というのは不思議だ。最初ゆであげスパゲッティを食べたときは少し物足りなく感じたのだが、二三度食べる内に素材の持ち味、麺の歯ごたえと喉越しの気持ちよさを美味しく感ずるようになった。こってりソースの伝統的なフレンチよりも、元々日本人の味覚に向いていたのかもしれない。連れ合いと出かけ、お互いの注文を取り分けて倍の味を楽しむ、これもイタリアンの良さだ。
コメント (2)
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