朝焼けを見るために

神様からの贈り物。一瞬の時。

流水子   第9話

2005-03-31 09:36:17 | 流水子
『キスして。』 『えっ。いきなり、びっくりさせるなよ。』 『キスしてほしいの。ただ、貴方とキスしたいの。』 『今?ここで?』 『そう、今、ここで。』 『どうしたんだよ、そういうことは酔っぱらった勢いってもののある時に言うものだぜ。』 『だって、今、貴方とキスがしたいんだもの。』 『そんなこと言ったって…。酔っぱらってもいないし、まだお天道様だってあそこにいるんだぜ。人だって見てる。』 『別に悪いこ . . . 本文を読む

流水子   第8話

2005-03-26 09:36:50 | 流水子
『あのね。』 『ん?』 『神様、お願い!』 『うん?』 『そう、言うの。』 『ふうん。』 『すると、本当に、不思議なことが魔法のようにおこるの。』 『例えば。』 『例えば、こうして逢えること。』 『…。』 『時間が欲しいわけ、そして嘘を裏付けするものも。』 『ほう。』 『そのためには、何かないと。主人の信用を勝ち得ておくこと。あの子が機嫌よく目を覚まし、早めに幼稚園に連れて行くことができること。』 . . . 本文を読む

流水子   第7話

2005-03-17 16:49:41 | 流水子
『はい、これ。』 『まぁ!』 『誕生日おめでとう。』 『ありがとう、うれしい!・・・でも、どうして11本なの?』 『あなたを入れて、ちょうど1ダースの薔薇さ。』 『まぁ。・・・なんて歯の浮くような台詞。どこで仕入れてきたの?』 『せっかくかっこ良く決めたつもりだったのにそれはないだろぅ。』 『だって貴方と私の仲で、それこそかっこつけるのは、合わないんじゃない?』 『そうかなぁ。』 『吹き出すところ . . . 本文を読む

流水子   第6話

2005-03-12 16:33:24 | 流水子
『今度は町田です。』 『転勤なの?』 『21日付けの移動です。』 『急な話なのね。』 『町田に欠員。関西に、いつまでたってもなじめない俺が、補充ってところでしょう。』 『全く、頑固よね。普通、4年も関西にいれば、関西弁ペラペラになるわよ。』 『なりませんよ。俺は。意地でも。』 『それだからいつまでたっても、貴方を理解してくれる女性に廻り会わないのよ。』 『ほっといてください。そのことに関しては。』 . . . 本文を読む

流水子   第5話

2005-03-03 17:05:36 | 流水子
『それで、ここの写真のレイアウトはこれでOKですね。』 『OK、それでいきましょう。』 『でも、ここの見出しの文字の大きさ、小さくないですか?なんとなく気になるんですが。』 『嫌、このままいきましょう。これ以上強調しすぎないほうが、ここはいいような気がする。』 『じゃあ、このまま印刷にかけます。』 『お願いします。今度の広報紙のコンクール、楽しみですね。』 『そうですね。いい結果がでれば、この一年 . . . 本文を読む

流水子   第4話

2005-03-01 09:27:06 | 流水子
『ありがとう。』 『いいえ、いつも勝手なことばかりして・・・。』 『昔、貰ったことがある。』 『覚えていてくださるのね。』 『あぁ。』 『嬉しい。』 『チョコレートの変わりに、ワインを送ってくれたこともあった。赤と白とセットで。』 『そんなことも。』 『確か、スペイン産のワインだった。』 『そんなことまで。』 『そのワインを女房と飲みながら、学生時代に行ったスペインの思い出話をした。懐かしかった。 . . . 本文を読む

流水子   第3話

2005-02-26 09:15:10 | 流水子
『ねぇ、初めてキスしたの覚えている?』 『あぁ。』 『こんな路地だったのよ。』 『そうだった?』 『そうよ。』 『それは覚えてない。』 『おやすみのキスをしよう、って言ったのよ。』 『そんなことを言ったか?』 『そうよ。』 『いつもの店でも、キスした。』 『うん。』 『前に、Mさん、座ってたよな。』 『そうそう。』 『見てたよな、間違いなく。』 『見てたでしょ、前に座っていたんだから。』 『よかっ . . . 本文を読む

流水子   第2話

2005-02-24 09:33:08 | 流水子
『綺麗な女(ひと)ね。』 『ぅん?』 『彼女よ。さすがにダンスのお教室を持ってるだけのことはあるわね。』 『美人ていうほどじゃないだろ。』 『違うわよ。体のラインが綺麗なの。筋肉のつきかたが綺麗っていうのかしら。』 『確かにスタイルはいい。』 『とても40中ばの女性にはみえなわ。鍛えているって、そういうことなのね。』 『そういうことなのか?』 『そういうことなのよ。』 『・・・。』 『でも、家庭的 . . . 本文を読む

流水子   第1話

2005-02-22 17:31:42 | 流水子
『もしも。架空の出来事として、今から私が其所に行ったとしたらどうする?』 『何をばかな事言っているんですか?ここが其所からどれだけ離れているか、わかっているんですか?それに今何時なのかわかっているんですか?』 『わかってるわよ。距離も時間も。だから、もしもって言っているじゃない。架空だって。』 『呑んでるんですか?』 『少しね。でも酔っぱらってなんてないわよ。』 『じゃあ、いったいなんなんです?ら . . . 本文を読む

流水子

2005-02-21 17:48:05 | 流水子
「流水子」るみこ 仲のよい友達に、携帯発信した小説?じみたもののタイトル。 当時の私の携帯は、送信文字数に制限があったため、その文字数で収まるようにまとめた短いもの。 25話ある。そのうち最後のほうの3話ぐらいをのぞいては、文字数の加減で、1話(1話完結)につき3回の送信(3部形式)となっている。 くだらないものなのだが、なんとなく気にいっていて、FDに保存しておいた。 ラブレターネタの次として . . . 本文を読む