海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

下地島空港への小沢発言

2010-01-04 21:29:15 | 米軍・自衛隊・基地問題
 2010年も明けて4日になる。名護市では市長選挙に向けてポスターが張りめぐらされ、宣伝カーから流れるマイクの音が絶え間なく聞こえている。
 昨年末に民主党の小沢幹事長が、普天間基地の「移設」先として伊江島と下地島の名前を挙げていることが報道された。辺野古新基地建設阻止はもちろんのこと、「県内移設」という名のたらい回しをどこにも許してはならないと考えるが、小沢発言については、普天間基地「移設」だけでなく先島への自衛隊配備との関係でも注意を要する。
 2005年3月に当時の伊良部町議会が「自衛隊誘致決議」を行った。それに対し島民は即座に反対運動を起こし、議員たちは厳しい追及を受けて、決議は白紙撤回された。
 その後、伊良部町は平良市などと合併して宮古島市となり、現在は市長も保守系に替わっている。地元には陸上自衛隊の誘致をめざす組織もあり、宮古島出身の下地幹郎議員(国民新党政調会長)が政権与党の一員として影響力を増すなど、5年前とは政治状況が変わっている。
 最近、国民新党の亀井静香代表が、沖縄をカジノ特区に、と発言しているのも気になる。2012年には伊良部架橋が完成予定だが、それに合わせて下地島空港への自衛隊・米軍の誘致とカジノ・リゾート開発をセットで進めようという動きが浮上してこないか。そのことを私は以前から懸念しているのだが、今回の小沢発言によってその懸念が強まっている。
 今回の小沢発言を機に、ユーチューブにアップされている以下の映像を改めて見た。07年10月29日の衆院テロ対策特別委員会で、守屋武昌氏(元防衛事務次官)に対する証人喚問が行われた。その時、社民党の照屋寛徳議員の質問に対し、守屋氏が07年5月に下地島空港を見に行き、その際、下地幹郎衆院議員と浦添市長の三人でゴルフを行い、下地議員が費用を払った、と答える場面がある。3分25秒あたりから出てくる。

http://www.youtube.com/watch?v=bAQ2QdbaarE

 照屋議員は下地議員による「ゴルフ接待」の事実を確認しただけで、この件に関しそれ以上突っ込んだ質問はしていない。守屋氏と下地議員、儀間光男浦添市長との間でどのような会話が交わされたのか。彼ら3人の思惑はどのようなものだったのか、などは想像するしかない。ただ、それが下地島空港の軍事利用をめぐるものであったことは間違いないだろう。
 守屋氏の逮捕によって、その時の思惑は潰えたにしても、下地島空港の軍事利用を策す動きは一貫してある。今回の小沢発言が呼び水となり、再びその動きが活発化しかねない。すでに宮古島では警戒心を持って動きを見つめている人たちがいると思うが、民主・社民・国民新の与党検討委員会の場で下地島や伊江島の名が出たときには、即座に沖縄全体で「県内移設」反対!の声を上げていく必要がある。
 もう一つ気になるのは、今年11月に行われる予定の県知事選挙で、野党側候補者として下地幹郎議員、儀間光男浦添市長の名が県内メディアによって報じられていることだ。米軍基地の「整理縮小」と再開発、カジノ、下地島空港の軍事利用、先島への自衛隊配備など、沖縄における基地・防衛利権と政界再編が絡む動きが、4年前の名護市長選挙、県知事選挙から現在までつながっていることに目を凝らしたい。 

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