仏像アトラクション「お練り供養」(通称「おねり」)のプロモーションビデオは、やっぱりホンモノもみたいよう、と思わせる興味深いものだった。仏像のかぶり物は、お面のように目の所がくりぬいてないので前が見えない。だから必ず先導者が一人につき一人ついて手を引く事になる。
首から上は仏像、下は人間という状態で、ゆっくりとおぼつかない足取りの行列が練り歩くのは、異界にいるような目眩を覚えるような異次元感覚に陥って、幻覚をみているようである。いかにもみうらさん好みだ。
が、すっかり気持が盛り上がってしまったみうらさんは、「もう一個だけ。仏教に関係ないけど、神仏習合ということで《祭り》のDVDを。これをここ(種智院大学)で見る事に意味があるんです!」
出て来たのは、みうらじゅんプロデュース『とんまつりJapan』のDVDであった! みうらさんの説明に寄れば、例えば「日本祭り辞典」で調べたら1行しか説明のないような、地元民しか知らないような超マイナーな祭り。しかも「どうしてこんな祭りが・・・?」とその来歴すら不明だったりする意味不明な神事や、五穀豊穣を祈る客観的にみてエッチな祭りなど、外部の人間がみれば「どーかしてる」としか思えない「とんまなまつり」をみうらさんは「とんまつり」と命名した。
日本全国をカメラとビデオカメラを持参し、「とんまつり」を採集しまとめたのが「とんまつりJapan」(集英社)という本になっているが、動画として残さねば!とプチ小沢昭一的心でプロモーション・ビデオ&DVDも作られた。
それを公開してくださるのである。
うれしい! 大丈夫なのだろうか?という一抹の不安もよぎったりするが、でもやっぱりうれしい。ガンガンのロックに乗ったみうらさんの歌声のBGM。呆然と眺める画面。みうらさんが、丁寧に祭りの説明をしてくださったが、すでに本は読了済なので、ああ、あれは和歌山県の「笑い祭り」だ!とか即わかっちゃう自分が可笑しい。やっぱり動画はインパクトがちがうよね、とひとり納得。
そのあと司会の先生が、「お子さんもいらっしゃいましたが、大丈夫でしたかねえ?」と心配そうにされていたが、私は彼の内心の方が、よっぽど心配だったりした。
そっと学長を伺うと、さすがに動じた様子も無く平常心のお顔で安心するも、隣にいらっしゃった剃髪の先生が、とても赤い顔と赤い頭だったので、やっぱり心配になる。
その後何事もなかったように、質問コーナーに移る。最初に仏足石について、いきなりマニアックな質問がおじいさまより放たれる。予想外のマニアックさにみうらさんは意表を突かれたようだったが、「すみません、わからないので、出直して来ます」と素直に負け?を認められる。司会の先生が「ここは学会ではないので(あんまり専門的な質問は・・・)」と言いかけられると、「いや、いいです、出直して勉強して来ますので」。この正直で真摯なみうらさんの態度にぐっとくる。
その他いくつかの質問に応えられたが、みうらさんの頭の運動神経のよさに、参りましたね、私。当意即妙とかアドリブが利くとかじゃなく、本当に真剣にその場で考えられて、とても誠実に応えられているのに、すっかり感動してしまった。みうらさんって、なんていいひとなんだろうと思いますね。特に最後の方の質問は問い自体がとても宗教的だったし、それに一生懸命に応えようとするみうらさんが、とてもかっこよかった。
最後に現在の高野山の管長である松長有慶先生が書かれた「理趣経」の講義がまとまった本『理趣経講讃』を希望者に差し上げます、というアナウンスが司会者からある。みうらじゅん講演会のあと、「理趣経」なんて、できすぎているかも。
「理趣経」は空海が日本に持ち帰ったお経で、最澄がこれを教えてくださいと空海に頼んでも拒否されてしまったという、もとは秘伝のお経である。「理趣経」は「欲望は否定するものではなく、欲望そのものが清浄な菩薩の心である」云々ということが書かれており、いやにみうらさんと繋がるものを感じてしまう。
みうらじゅん先生の講演を聴き、ラストが「とんまつりジャパン」のDVD映像を見て、出口より「理趣経」の解説本をもらって帰る。完璧である。先生方の思惑とはたぶん裏腹に、私の中ではパーフェクトにできたイベントであった。いや学長に関しては、この講演会の裏に秘められた壮大な思想体系をわかっていらっしゃったのかもしれない。種智院大学、おそるべし。真言密教ここに極めり、という誇るべき大学である事を確認した次第である。
「みうらじゅん&理趣経」という最強のタッグが結ばれ、高野山を本山とする種智院大学の講演会は完結したのであった。

首から上は仏像、下は人間という状態で、ゆっくりとおぼつかない足取りの行列が練り歩くのは、異界にいるような目眩を覚えるような異次元感覚に陥って、幻覚をみているようである。いかにもみうらさん好みだ。
が、すっかり気持が盛り上がってしまったみうらさんは、「もう一個だけ。仏教に関係ないけど、神仏習合ということで《祭り》のDVDを。これをここ(種智院大学)で見る事に意味があるんです!」
出て来たのは、みうらじゅんプロデュース『とんまつりJapan』のDVDであった! みうらさんの説明に寄れば、例えば「日本祭り辞典」で調べたら1行しか説明のないような、地元民しか知らないような超マイナーな祭り。しかも「どうしてこんな祭りが・・・?」とその来歴すら不明だったりする意味不明な神事や、五穀豊穣を祈る客観的にみてエッチな祭りなど、外部の人間がみれば「どーかしてる」としか思えない「とんまなまつり」をみうらさんは「とんまつり」と命名した。
日本全国をカメラとビデオカメラを持参し、「とんまつり」を採集しまとめたのが「とんまつりJapan」(集英社)という本になっているが、動画として残さねば!とプチ小沢昭一的心でプロモーション・ビデオ&DVDも作られた。
それを公開してくださるのである。
うれしい! 大丈夫なのだろうか?という一抹の不安もよぎったりするが、でもやっぱりうれしい。ガンガンのロックに乗ったみうらさんの歌声のBGM。呆然と眺める画面。みうらさんが、丁寧に祭りの説明をしてくださったが、すでに本は読了済なので、ああ、あれは和歌山県の「笑い祭り」だ!とか即わかっちゃう自分が可笑しい。やっぱり動画はインパクトがちがうよね、とひとり納得。
そのあと司会の先生が、「お子さんもいらっしゃいましたが、大丈夫でしたかねえ?」と心配そうにされていたが、私は彼の内心の方が、よっぽど心配だったりした。
そっと学長を伺うと、さすがに動じた様子も無く平常心のお顔で安心するも、隣にいらっしゃった剃髪の先生が、とても赤い顔と赤い頭だったので、やっぱり心配になる。
その後何事もなかったように、質問コーナーに移る。最初に仏足石について、いきなりマニアックな質問がおじいさまより放たれる。予想外のマニアックさにみうらさんは意表を突かれたようだったが、「すみません、わからないので、出直して来ます」と素直に負け?を認められる。司会の先生が「ここは学会ではないので(あんまり専門的な質問は・・・)」と言いかけられると、「いや、いいです、出直して勉強して来ますので」。この正直で真摯なみうらさんの態度にぐっとくる。
その他いくつかの質問に応えられたが、みうらさんの頭の運動神経のよさに、参りましたね、私。当意即妙とかアドリブが利くとかじゃなく、本当に真剣にその場で考えられて、とても誠実に応えられているのに、すっかり感動してしまった。みうらさんって、なんていいひとなんだろうと思いますね。特に最後の方の質問は問い自体がとても宗教的だったし、それに一生懸命に応えようとするみうらさんが、とてもかっこよかった。
最後に現在の高野山の管長である松長有慶先生が書かれた「理趣経」の講義がまとまった本『理趣経講讃』を希望者に差し上げます、というアナウンスが司会者からある。みうらじゅん講演会のあと、「理趣経」なんて、できすぎているかも。
「理趣経」は空海が日本に持ち帰ったお経で、最澄がこれを教えてくださいと空海に頼んでも拒否されてしまったという、もとは秘伝のお経である。「理趣経」は「欲望は否定するものではなく、欲望そのものが清浄な菩薩の心である」云々ということが書かれており、いやにみうらさんと繋がるものを感じてしまう。
みうらじゅん先生の講演を聴き、ラストが「とんまつりジャパン」のDVD映像を見て、出口より「理趣経」の解説本をもらって帰る。完璧である。先生方の思惑とはたぶん裏腹に、私の中ではパーフェクトにできたイベントであった。いや学長に関しては、この講演会の裏に秘められた壮大な思想体系をわかっていらっしゃったのかもしれない。種智院大学、おそるべし。真言密教ここに極めり、という誇るべき大学である事を確認した次第である。
「みうらじゅん&理趣経」という最強のタッグが結ばれ、高野山を本山とする種智院大学の講演会は完結したのであった。

http://tbs954.cocolog-nifty.com/st/2006/12/121_3eeb.html
「時代に恩返し」、懐かしー! 愛知万博初入場のとき、たまたまぶつかったんです、この2日間のイベントの日に。時間が合わなかったので、シャチハタ会場で「じゅんの時代に恩返しスタンプ」押して、過去のスタンプや「つっこみ如来さま」の展示を見て、みうらさんにも糸井さんにも一目も会えずに帰りましたけど。このときのカタキをやっと京都で打てました。
おかげで大分思い出せました。
何度読み返しても、笑いと感動がよみがえってきます。
みうらさんの話したアウトラインはおおよそなぞっていますので、参加されていなかった方も、楽しんでいただければ幸いです。
他にもみうらさんの事を書いた日記がありますので、よかったらサイト内検索をかけてみてください。