半生煎餅
2024年03月22日 | 食
青森県の太平洋側、かつての南部藩一帯は夏に低温多湿の風「ヤマセ」が吹くところ。
したがって昔は冷害が多発して、お米がとれず苦しんできました。
そんな先人が考えたのが雑穀。アワ、ヒエ、キビ、ソバ、小麦など
冷害に強い作物の栽培です。しかしお米に比べるとあまり美味しくありません。
そこで先人たちは、さまざまな食べ方を考案しました。
そのひとつが「南部せんべい」。せんべいといったら米粉で作るもの。
日本の常識ですが、この地域では小麦で作るのです。
あっさりとした塩味、パリパリした食感が特徴ですが、こんな煎餅もあります。
それが「てんぽ煎餅」。もち煎餅ともいいます。
調べてみると「てんぽ」とは中途半ぱという方言。
つまり見た目では分かりませんが、かた焼きではなく半生煎餅という意味です。
半生といっても熱が入っているので食べても大丈夫。
原料が小麦ということもあり、食感はうどんやお餅に似ています。
熱々を食べると、これが煎餅かとびっくりするぐらい美味しいのですが
冷めるとだめ。冷えたうどんが硬くなって美味しくないように
極端に味が落ちます。したがってお土産にはならないので
新幹線の駅でも売っていません。美味しく食べるためには
その町に昔からある自ら焼いている煎餅屋さんに行く必要があります。
現在は知名度が下がり、需要は減少。
でも名農周辺ではまだ作っているお店があるので、
機会があったらぜひ先人の知恵をご賞味ください。
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