とある金融系の記事で、大真面目に書いてあるにもかかわらず内容はけっこうアレなのを見つけてしまった。
これはおおむね世間で共通する太陽電池によくありがちな誤解のような気がするのでここで書いておきたい。
「Ⅲ-Ⅴ族半導体を使って効率30%以上という結果が得られている。これが実用化すればエネルギー問題は解決する!」
これは前半は正しいが、後半はウソだ。
Ⅲ-Ⅴ族半導体は桁違いに高価なので、人工衛星のような「少々高くてもいいからもっと高性能なものよこせ」という用途にしか使えない。
執筆者はおなじⅢ-Ⅴ族のガリウム砒素を使った半導体デバイスがシリコンデバイスに比べてどれだけ高価なのか知らんのだろう。
一般家庭の屋根の上にⅢ-Ⅴ族の太陽電池がずらりとならぶ未来は絶対来ないし、少し知識があるヤツなら誰でもそう予想するに至るはずだ。
もし効率30%以上のものが一般家庭の屋根の上に乗るとすれば、タンデム型か量子ドット型かだと思われるので、もし高効率化に注目されたいならばそちらをご覧あれと言いたい。
ひどいヤツになるとⅢ-Ⅴ族(3-5族)を111-V(111-ブイ族)などと書いているヤツもいる。
これはほんの少しでも半導体物性の知識があれば間違えない。
これはH2O(えいちつーおー)をH20(えいちにじゅう)と間違える化学屋はいないのと同じくらい間違えるはずがない。
そういうアナリストの書いたレポートは注意して読むべしである。
「太陽電池によって石油の需要がなくなる」
わたしはこれはだいぶインチキ臭いと思ってる。
太陽電池で得られるものは電力である。
だが、実は今の世の中では石油ではあまり発電していない。
化石燃料系の発電設備としては天然ガスと石炭がある。
だから天然ガスと石炭は太陽電池と直接競合する。
これは太陽電池の破壊的普及によって需要が大幅に減る可能性はある。
では、石油をエネルギー源として利用しているものは何か?
それは自動車である。
では、車のエネルギー源は太陽電池由来の電気に置き換わるのか?
これは思ったより遅々として進まないぞというのが世間の見方だ。
車の燃料を石油から太陽電池に置き換えるには高性能なバッテリーが必要になってくる。
でないとガソリン車ほど航続距離が伸びないからだ。
だが、そのバッテリーの高性能化があまり進んでいない。
だからそのガソリン車の大半をEV(電気自動車)に置き換えるのはだいぶ先の話になりそうだ。
「太陽電池のコストは待っていればいくらでも下がる」
パネルやパワコンのコストは待っていればいくらでも下がるかもしれない。
だが設置費用がものすごく高く、これがネックになっている。
ちゃんと調べてはいないが、現時点でも半分くらいは設置コストなのではなかろうか。
パネルのコスト削減は材料屋の仕事であり、パワコンのコスト削減は部品屋と回路屋の仕事であるが、設置コスト削減は土建屋の仕事である。
みなさんごぞんじのように土建は技術革新によるコストダウンがそう簡単には起きない世界である。
いくら電気屋ががんばっても、設置コストが全体の8割くらいになってしまった日には、もうそれ以上安くなりそうにはないでしょ?
電気屋が超がんばってコストダウンすればあと25%くらい下げられるかもしれないが、工事費や架台費という泥臭いところがコストダウンできなければそれくらいで打ち止めになる。
これでは日本では補助金なしのグリッドパリティは無理なので土建屋にはがんばってほしいところだ。
まあ、エネルギーの輸入コストが増大したことによって悪い意味でグリッドパリティを達成してしまう可能性は十分あるような気はするが。
これはおおむね世間で共通する太陽電池によくありがちな誤解のような気がするのでここで書いておきたい。
「Ⅲ-Ⅴ族半導体を使って効率30%以上という結果が得られている。これが実用化すればエネルギー問題は解決する!」
これは前半は正しいが、後半はウソだ。
Ⅲ-Ⅴ族半導体は桁違いに高価なので、人工衛星のような「少々高くてもいいからもっと高性能なものよこせ」という用途にしか使えない。
執筆者はおなじⅢ-Ⅴ族のガリウム砒素を使った半導体デバイスがシリコンデバイスに比べてどれだけ高価なのか知らんのだろう。
一般家庭の屋根の上にⅢ-Ⅴ族の太陽電池がずらりとならぶ未来は絶対来ないし、少し知識があるヤツなら誰でもそう予想するに至るはずだ。
もし効率30%以上のものが一般家庭の屋根の上に乗るとすれば、タンデム型か量子ドット型かだと思われるので、もし高効率化に注目されたいならばそちらをご覧あれと言いたい。
ひどいヤツになるとⅢ-Ⅴ族(3-5族)を111-V(111-ブイ族)などと書いているヤツもいる。
これはほんの少しでも半導体物性の知識があれば間違えない。
これはH2O(えいちつーおー)をH20(えいちにじゅう)と間違える化学屋はいないのと同じくらい間違えるはずがない。
そういうアナリストの書いたレポートは注意して読むべしである。
「太陽電池によって石油の需要がなくなる」
わたしはこれはだいぶインチキ臭いと思ってる。
太陽電池で得られるものは電力である。
だが、実は今の世の中では石油ではあまり発電していない。
化石燃料系の発電設備としては天然ガスと石炭がある。
だから天然ガスと石炭は太陽電池と直接競合する。
これは太陽電池の破壊的普及によって需要が大幅に減る可能性はある。
では、石油をエネルギー源として利用しているものは何か?
それは自動車である。
では、車のエネルギー源は太陽電池由来の電気に置き換わるのか?
これは思ったより遅々として進まないぞというのが世間の見方だ。
車の燃料を石油から太陽電池に置き換えるには高性能なバッテリーが必要になってくる。
でないとガソリン車ほど航続距離が伸びないからだ。
だが、そのバッテリーの高性能化があまり進んでいない。
だからそのガソリン車の大半をEV(電気自動車)に置き換えるのはだいぶ先の話になりそうだ。
「太陽電池のコストは待っていればいくらでも下がる」
パネルやパワコンのコストは待っていればいくらでも下がるかもしれない。
だが設置費用がものすごく高く、これがネックになっている。
ちゃんと調べてはいないが、現時点でも半分くらいは設置コストなのではなかろうか。
パネルのコスト削減は材料屋の仕事であり、パワコンのコスト削減は部品屋と回路屋の仕事であるが、設置コスト削減は土建屋の仕事である。
みなさんごぞんじのように土建は技術革新によるコストダウンがそう簡単には起きない世界である。
いくら電気屋ががんばっても、設置コストが全体の8割くらいになってしまった日には、もうそれ以上安くなりそうにはないでしょ?
電気屋が超がんばってコストダウンすればあと25%くらい下げられるかもしれないが、工事費や架台費という泥臭いところがコストダウンできなければそれくらいで打ち止めになる。
これでは日本では補助金なしのグリッドパリティは無理なので土建屋にはがんばってほしいところだ。
まあ、エネルギーの輸入コストが増大したことによって悪い意味でグリッドパリティを達成してしまう可能性は十分あるような気はするが。