現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

蜂飼耳「いとこ」のろのろひつじとせかせかひつじ所収

2016-08-28 08:12:50 | 作品論
 二匹の家のまわりに、ひつじの大群がやってきます。
 牧童犬に導かれて、海を渡って見知らぬ世界へ旅立っていくのです。
 のろのろひつじは、群れの中にいとこのひつじがいることに気が付いて、一緒に旅立つことを決意します。
 残されたせかせかひつじは、いつまでも群れが去っていくのを見送ります。
「安定した、しかし平凡な日常をおくっている定住者が、未知の世界へ旅立つ旅人にあこがれる」
 これは、児童文学ではよく取り上げられるテーマの一つです。
 古くは、イギリスファンタジーの古典であるケネス・グレアムの「楽しい川辺」の第9章「旅びとたち」が有名です。
 また、トールキンの「ホビットの冒険」や「指輪物語」、またその影響を受けたとされる斉藤惇夫の「冒険者たち」も、その典型的な例としてあげられます。
 本作品はこれらの作品における「旅立ち」には遠く及ばないのですが、二匹の友情と別れはある程度は描けているのではないでしょうか。

のろのろひつじとせかせかひつじ (おはなしルネッサンス)
クリエーター情報なし
理論社

コメント
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