いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

オール人力狙撃システム試作機

遂に提訴…奈良の妊婦死亡事件

2007年05月23日 21時43分28秒 | 法と医療
以前からネット上でも話題になっていた件ですが、提訴となったようです。

Yahooニュース - 読売新聞 - 脳内出血の妊婦が転院断られ死亡、遺族が担当医ら賠償提訴

(記事より一部引用)

奈良県大淀町の町立大淀病院で昨年8月、妊婦が出産時に脳内出血で意識不明となり、相次いで転院拒否された末、搬送先の病院で死亡した問題で、遺族が23日、「脳検査も治療もせず放置した」として、担当医と大淀町を相手に損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。この問題を巡っては、県警が担当医らを事情聴取するなど業務上過失致死容疑で捜査しており、刑事・民事の両面で真相解明が進むことになった。


これにも書いた(続・奈良の妊婦死亡事件について)が、報道による影響があったと思われるが、どうだろうか。

遺族の「納得できない」という気持ちは判るが、これを「納得させる」ということはとても難しいのであろうな、とは思う。解決の糸口を法廷という場に求めるのは、現状の制度では止むを得ないのかもしれない。



骨セメント使用時の心停止例

2007年05月23日 00時32分40秒 | 法と医療
前に記事に書いた論点(裁判における検証レベル)であるが、実際の心停止例が報告されていたので記しておく。

偶然発見した資料がコレ> 医療機器不具合等報告

報告数が多いのですけれども、この391~393番に「骨セメント」という項目がありました。全例とも製品の不具合はなかったのですが、「健康被害状況」という項目を見ると次のようになっていた(例数も記す)。

391 血圧低下、徐脈、心肺停止― 国内1例
392 死亡―国内3例
393 心停止―国内3例

この発生時期がいつなのか不明で、これまでの全累積が記載されているのかも分らないが、過去の報告にはあったということは言えるであろう。合計7例で「心停止」に陥っており、前の記事に示した東京高裁の逆転判決は甚だ疑問であると思われる。心停止を生じるのは、「麻酔薬の最小量となっていなかったこと」などということではなく、他の原因によっても生じ得る(特別な疾病や薬物使用がなくても起こる)のであって、こうした論点を無視して過失認定を行ってしまうという現在の医療裁判システムは「システム上の重大な欠陥」を抱えていると言わざるを得ない。


一応、透析用のダブル・ルーメンカテーテルについて「血管穿通」とか「挿入血管からの出血」といった報告例がないか見たのだが、発見できなかった。出血原因として「カテーテルによる」という原因特定が困難である(例えば手技的要因とかと明確に区別するのが難しいから?)とか、大した被害などがなくて報告がなされないから、といったことがあるのかもしれない。仮に、血管穿通があったとしても、見えない場所に出血するので、偶然画像診断などで発見されたりしない限り気付かれないまま過ぎるかもしれない。少量出血くらいであれば、血腫が形成されても自然に吸収されてしまうからであろうか。