遅ればせながら、書いておきたいと思う(実は先日かなり書いていたのに、記事を消してしまって、ショックを受けたので放置していた)。
※最初は「林道談合事件と松岡大臣」というタイトルにしていましたが、死亡が報じられた為、タイトルを変えて追加をしました。
検察捜査が着手されて随分と話が進んでしまったが、捜査当局の目指す「本ボシ」に辿り着けるかが焦点となってきた。参院選挙前にスキャンダルとなることは、所謂「政治的背景」から困難であると見ているが、どうだろうか。ただ、選挙後であれば、検察側にGOサインを出すことは可能であろう。その為の準備は着々と進められて行くであろう。「本ボシ」の方は首を洗って待っていろ、というところであろうか。
4月に産経新聞が報じたのが、公取委の記事だった。
Yahooニュース - 産経新聞 - 林道談合 公取委、緑資源機構強制調査 幹部主導裏づけへ
(記事より一部引用)
問題となっているのは、機構が発注する「緑資源幹線林道」の地質調査や環境調査業務を受注する公益法人や民間企業の談合疑惑。年間の発注額は約十数億円規模。公取委の調べなどによると、機構森林業務部の林道企画課長と8地方建設部の担当課長ら幹部が、過去の受注実績も加味して受注予定業務を割り振る配分表を作成。業務担当理事に報告した上で、業界側に事前に各工事の落札予定業者を伝達するなどし、各社に談合を繰り返させていた疑いが持たれている。
緑資源機構には多くの歴代林野庁幹部が天下りしていたほか、受注者側の公益法人にも農林水産省や林野庁のOBが再就職しており、談合の背景には天下りも関係するとみられている。公取委は昨年10月から、公益法人と民間企業約30業者に立ち入り検査した。当初は行政処分を目的に審査してきたが、悪質な官製談合の疑いが強まったため、今年3月、刑事告発を目的にした犯則審査に切り替えていた。
この談合疑惑をめぐっては、東京地検特捜部も、機構幹部が予定価格を漏洩(ろうえい)するなど業者と結託して入札を骨抜きにしていた疑いが強まったとして、刑法の競売入札妨害の容疑で、近く本格的な捜査に乗り出す方針を固めているもようだ。
注目したのは、当初行政処分を目的に審査していたが、悪質な官製談合が次第に明らかとなってきた為、「刑事告発を目的にした犯則審査」に切り替えた、ということである。公取委の機能・権限強化を図ってきた効果が、ここで発揮されることとなった。犯則事件の調査権限*は独禁法改正で昨年から施行され、裁判所の許可状(普通の捜査令状とは呼び名が違うのですね。これって刑事訴訟法とかの規定なのかな?それとは違うから、ということなのかも)をもらえると、臨検、差押えや捜索などを行うことができる。犯則の心証を得たら検事総長への告発を行う義務を負う(独禁法第74条)。やや曖昧な「犯則の心証」という表現になっているが、これは公取委が「(専門的)捜査機関ではない」ということから警察のような捜査は困難であるということで、「犯罪の存在」を確定できなくても「心証得る」だけで告発可能になっている、ということであろうと思う。
*「12章権限(規定)」とは呼ばないが、私が勝手に命名するとすればこう呼びたい。独禁法の12章(101~118条)に規定されているので。米国における破産関連の手続きで「チャプター11」と呼ぶとか、「国連憲章第7章」決議云々のマネです。
丁度3月には次の記事を書いていた(偶然に過ぎないけど)。
公取委の決断
この記事にも触れたが、取り組みとしては「行政組織」の一部である公取委が「行政組織」を摘発しているのであり、「官」の全てが悪なわけじゃない。そういう人々がいて、きちんと頑張っているんだ、ということは評価してあげるべきだろう。農水省自身が自ら改められないのであれば、強い外力で改善させるしかない。その外力は「官」によってもたらされているのである、ということは、国民にも広く知られるべきだろうし、「官」はできることはそれなりにやっているのだという認識は共有されていいはずだろう。今回の事件は、公取委の告発が端緒となっている、ということを忘れてはいけないのだ。
前は国土交通省の
当たり年だったが、今度は農水省かもしれない。「ナントカ還元水」で一躍有名人となった松岡農水大臣は、この談合組織とも「深ーい繋がり」があったようだ。
Yahooニュース - 日刊ゲンダイ - 緑資源「官製談合」事件 捜査の手は松岡農水相に伸びるか
(記事より一部引用)
その談合林道工事に絡む9団体からベラボーな献金をもらっていたのが松岡ナントカ還元水大臣。これで疑惑は「水と緑」のセットとなった。
献金は96年から05年までに民有林整備懇話会、民有林振興会、全国林業政治連盟など似たような名前の政治団体から1億3184万円。
この献金の見返りに松岡が便宜を図っていたら立派な犯罪だが、検察はどう見ているのか。
「今のところ談合に絡んで名前は出てきませんが、当局が関心を持っているのは今回摘発されたコンサルタントや公益法人の代表者が同じ期間に計852万円を献金していることです。今後、この集中献金と業界の関連について調べることになりそうです」(検察事情通)
他の報道も見てみる。
Yahooニュース - 毎日新聞 - <緑資源談合>熊本の工事受注14業者、松岡農相側に献金
(記事より一部引用)
予定価格に占める落札額の割合を示す「落札率」は、14業者が落札した14事業では13事業までが91~94%台と高率だった。一方、松岡農相が献金を受けていない大手ゼネコンが落札した農林道工事(2件)の落札率は67~77%だった。
阿蘇北部地方の事業を巡っては、関係者が東京地検特捜部の調べに「談合が行われていた」と供述。特捜部が25日、同県小国町の緑資源機構の建設事業所などを独占禁止法違反容疑で捜索した。
松岡農相の地元事務所は「担当ではないのでコメントできない」と話している。
松岡農相は、今月8日の参院農水委員会で、一連の談合事件に関与した疑いの持たれている財団2法人の幹部などから約850万円の献金を受けたと指摘されていた。
いずれ捜査は核心に迫っていくであろう。
自民党内でも一部議員からは「辞めるべきだ」との意見が出されており、参院選前に「スキャンダルまみれ」となれば、特に厳しい選挙戦の予想される地方などでは、「このままでは不戦敗確定だ」という不安が持ち上がっても不思議ではないだろう。松岡大臣が悪代官よろしく居直る姿勢を続ける限り、戦況は悪化していくのだ。だが、選挙前に辞任、或いは更迭ということになれば、野党にとっては格好の攻撃材料となってしまう。内閣批判もそうだし、安倍総理の指導力や任命責任問題として、いい口実となってしまうのである。自民党にとっては、「脅威の爆弾」となってしまったのが松岡大臣の問題なのである。
これも自業自得ではある。例の事務所費・光熱水費問題の時にササッと切っておけば、選挙を控える今になってクローズアップされることはなかったであろう。だが、悪あがきをして居座り続けてしまったが故に、爆弾は破裂寸前の風船のように大きくなってしまったのである。時間経過が長かったが故に、風船を膨らませることとなってしまったのである。あの時ならば、風船まだ小さかったのである。破裂しても大した被害はもたらさなかったであろう。だが、今は違う。今後、疑惑の目は来る日も来る日も、松岡大臣に向けられる。果たして自民党は選挙を乗り切れるだろうか?
松岡大臣の周辺捜査は始まっている。「やぶ蛇」があるかもしれない(笑)。是非捜査当局には頑張って頂きたい。きっと、殆どの国民は応援しているはずだろう。
追加です。
驚きました。
松岡大臣は自殺を図り、死亡されたようです。
なぜ「再チャレンジ」の可能性を自ら絶たれたのか判りません。それにしても、自殺までしなくとも、大臣辞任という話ではなかったのでしょうか。捜査の手がかなり近かったからなのでしょうか。これで、農水族の錬金術システムの実態は闇に葬りさられたかもしれません。事務所費関連の告発(
彼らの勇気と行動力に感謝する)もあったので、金の流れを解明されると本当に困ることがあったのか…?
謎が多いままです。
やはりあの時、辞任しておけば自殺にまでは至らなかったのではないでしょうか。問題が大きくなり過ぎて、本人の手に負える範囲というレベルではなくなったからではないでしょうか。後戻りできなくなって、行く所まで行き着いた結果が、今回の自殺だったのではないでしょうか。