平野啓一郎の三島由紀夫論を読みながらの、三島文学読み返しシリーズ、その2。
仮面の告白に次いでは、金閣寺です。
この文庫本は3冊めの購入。炎の表紙がカッコイイ。
山種美術館所蔵の速水御舟「炎舞」の部分画だそうです。
1950年の金閣寺放火事件をテーマにした小説で、絶対的な美である金閣を燃やすまでに至った溝口の心理が克明に描かれています。そして絢爛な文体は三島ワールド全開。
仮面の告白論を読んだときはその読み方の深さ故、自己嫌悪を感じるほどであったことは以前に書いた通りでし。金閣寺は仮面の告白よりも読み込んでいたつもりではありますが、それでも金閣寺論については、舌を巻かざるを得ないほどの綿密な分析がされていました。
初めてこの本を読んでから40年以上経っていますが、それだけの時を経てやっと、はじめて、金閣寺が三島の名作、代表作と呼ばれるのが理解できたように思えます。平野啓一郎の三島由紀夫論に感謝です。
しかし、平野啓一郎は中学生のときに金閣寺を読んで感動を受けたのが作家を志すきっかけ、と書いてあるのを読みましたが、中学生でこの作品に感動を覚えるということは、恐ろしい感性だと思いました。わたしなんぞは、大学生の頃に読んで、感動というより、ふうむ三島文学とはこのような感じなのだなと漠然と思い、その面白さは理解し他の作品も読みましたが、感動という感情ではなかったと思います。
その後読み返すうちに、今回になってやっと感動らしき感情が湧いてきたか、というところです。
いつもの作者プロファイル。
1956年に「新潮」に連載(10月に刊行)、文庫化は1960年。こちらの本で第138刷。
こちら金閣寺論の目次。
かなり難解な内容もあり、すべて理解して読んだわけではありませんが、これまで気づかなかったことがてんこ盛りです。
次は、英霊の聲論を読みます。英霊の聲は、わたしもけっこう読み込んでいるつもりではあるのですが、その自信も打ち砕かれる、ような気がする^^;
p.s. 明日からいよいよ王座戦。
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