読む日々

テーマばらばらの読書日記

小袖日記

2011-06-10 | 
柴田よしき「小袖日記」

 不倫の恋に破れ、ヤケになって「死んでやる」と外へ出た女が、雷に打たれて 平安時代へタイムスリップ。
紫式部の侍女・小袖と入れ替わり、現代で読んだ源氏物語の記憶を元に、お話のネタ探しをする過程で、源氏物語の裏話が明らかになる物語。

入れ替わる、と言っても中身だけの入れ替わりらしく、外見は小袖のまま。
とにかく面白かった。

そして面白いだけでなくて、「生きること」の大切さが底辺に流れていて とっても考えさせられたし涙もでた。
「明石の君」が実は替え玉で、本当の「明石の君」は大切な人と駆け落ちしていたり。
「六条の御息所」はとてつもなくいい人だったり。
そしてみんな、生きる事にとっても一所懸命だったり。
現代の眼でみると「夕顔」は糖尿病だし、低血糖を抑えるためのお菓子に毒を仕込まれての他殺だったり、
「葵の上」は乳癌で死亡していたり。「生き霊の祟り」の謎がとかれたりしていてそれも面白い。

最後は、もう一人「若紫」と入れ替わった現代人・洋子と出会い、2人で相談して、再度もう一度雷に打たれ、
めでたく元の世界へ戻って終わり。

入れ替わった小袖は・・?と思いきや、現実世界では女は60時間程度眠り続けていただけ、との事。
その辺のからくりはどういう解釈なのかは不明だけど。
でも本当に読んでて楽しかったです。

満足度90