姉小路(あねやこうじ)界隈の続きどす。(^_^ゞ
今回は烏丸通から1本東、姉小路通車屋町から富小路くらいまで
老舗の看板、店構えなど見ながらぶらぶらと・・・
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〈亀末廣(かめすえひろ)〉姉小路車屋町 北東角
1804(文化元)年創業の和菓子の老舗。支店や百貨店、ネットでの
販売はせず、本店のみで「一対一の商い」にこだわっている
京都でもひときわ存在感のある老舗です。
京行燈(きょうあんどん)、お店に合わせて亀甲柄になってますね。
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日曜祝日は定休日なので、暖簾(のれん)は出ていませんでしたが、
ガラスに彫られた意匠、扇に亀の絵、亀丸に「すゑひろ」の文字。
暖簾が出ていたら長暖簾に「寿恵飛呂」の変体仮名文字と亀形の丸、
水引暖簾(軒に提げる短いのれん)に扇に亀の絵が書かれています。
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看板は檜の一枚板に山本意山の書によるもの。額には干菓子の型板が
はめられていますね。
京都では和菓子屋といっても「おまんやさん」と「もちやさん」に
明確に分けられます。おまんやさんは普通餅や赤飯を扱いません。
それは、茶道や朝廷の儀式に用いられた菓子を作ることの許された
江戸時代の上菓子屋仲間に由来し、菓子匠、御菓子司と称されます。
京都の子が「おまん、こぉてぇ」(=饅頭買って)と言っても
NGワードではありません、ドキッとしないように。(^_^ゞ
ところで、和菓子店には亀屋○○とか鶴屋○○が多いのですが、
その訳は、江戸時代以前の上菓子屋仲間の中に、五亀二鶴といった
本家筋にあたる五軒の亀屋さんと二軒の鶴屋さんがあり、そこから
暖簾分けされたところが亀屋鶴屋を名乗ったからなんです。
ちなみに京都にある亀屋、創業100年以上の老舗だけでも
亀屋陸奥(1421年創業)をはじめ、亀屋伊織 亀屋清永 亀屋伊織
亀屋清永 亀屋重久 亀屋良長 亀末廣 亀屋良永 てな具合。
この亀末廣が暖簾分けした店も亀廣永、亀廣宗、亀廣保、亀廣脇、
亀屋廣房、亀屋末富(現:末富)と亀だらけ・・・
名古屋亀末廣も暖簾分けされたお店、ここからも暖簾分けしている
のでまだまだ増殖中?
話は逸れますが、「とらや」って東京では老舗中の老舗、
創業・室町時代で490年の伝統を誇っていますが、もともと京都の
お舗。皇室御用達だったので明治になり、天皇について行くため
東京に移ったもの。こういうケースは他業種でも多々みられます。
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〈春芳堂(しゅんぽうどう)〉姉小路通車屋町東入ル
亀末廣の東隣り、創業は幕末1856(安政3)年の表具店です。
ケヤキの一枚板に竹内栖鳳(たけうち せいほう)が53歳の時の
書であり、春芳堂は栖鳳お抱えの店だったそうです。
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〈善田好日庵〉姉小路通東洞院(ひがしのとういん)西入ル
春芳堂の並びです。新古茶道具・美術品を扱う善田昌運堂の庵。
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〈八百三(やをさん)〉姉小路通東洞院西入ル
看板の「柚味噌」は商品名。嵯峨水尾産の上質な柚子を使った
柚味噌を専門に製造・販売されている「八百三」さん。
1708(宝永5)年創業で、看板文字は北大路魯山人の書です。
看板の文字は模刻で、店内に魯山人が自ら彫刻した木板があります。
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「うっとこは、これだけどす」と、さらりと。これしか売ってない。
百年以上一子相伝、秘伝の製法を踏襲されている柚味噌はまさに逸品、
もちろん元祖だとか。恐れ入ります。
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間之町(あいのまち)を通り過ぎ、高倉通を上がって御池通に
出てみました。
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〈御所八幡宮〉御池通高倉 南東角
足利尊氏ゆかりの神社らしい、尊氏と言えば京都室町で
室町幕府を開いた初代征夷大将軍ですね。
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高倉通を挟んで西隣りは〈ホテル ギンモンド〉
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〈細野福蔵商店〉高倉通御池下ル
これまた立派な店舗、法衣・仏具を扱うお店です。
格子窓に駒寄せ、暖簾が出ていなかったのは残念ですが、平日なら
「衣」と一文字大きく書かれている暖簾は印象的です。
アンティークショップのようですね。
〈リビングギャラリー 姉小路高倉〉姉小路通高倉 北東角
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〈堺町画廊〉姉小路通堺町上ル
貸し画廊のようです。シンプルな京町家風情が現代的にも思えます。
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〈和久傳(わくでん)〉姉小路通堺町上ル
1階では「おもたせ」を販売、2階はお茶と甘味をいただける
「茶菓席」。建物奥には、料亭「室町和久傳」になっています。
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〈光泉洞 寿み(こうせんどう すみ)〉姉小路通堺町東入ル
「京町家お昼処」となっています。詳しくは『HP』へ。
畳小窓には季節の花を・・・食事処とは気がつきませんでした。
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〈京の宿 石原〉姉小路通柳馬場(やなぎのばんば)上ル
故 黒澤明監督が定宿にされていたとか。そのせいか、日本の映画人、
俳優がよく利用されるようです。
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〈谷口邸〉姉小路通柳馬場東入ル
「姉小路界隈を考える会」の事務局長をされている谷口氏のお宅です。
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〈三嶌邸〉柳馬場通姉小路下ル
京風すき焼き、お肉の「三嶋亭」の社長さんのお宅だそうで。
散策に行った1月10日は、京都ではまだ松の内(1月15日まで)
こんなお飾りをされるのですね。
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〈あとりえ ぴっころ〉姉小路通富小路(とみのこうじ)上ル
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〈井山邸〉姉小路通富小路 北東角
この門と蔵は蛤御門の変の大火事にも焼け残った由緒あるもの
だそうです。もっと驚くべきことは、1620年頃からのこのお宅から
江戸時代の「町式目」が見つかったのだとか。
町式目とは江戸時代に町の人びとが取り決めた住むための自主ルールの
ことで、これを原典として「姉小路界隈を考える会」が新しく
「姉小路界隈町式目 平成版」を作られたのだとか。
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あちこちでこの立札を見ました。
国交省が「街なみ環境整備事業」というのを行なっており、姉小路も
2003年からその事業に参画しているようです。期限が10年間という
ことなので、もう補助とかは終了してしまったのかな?
姉小路界隈を考える会・谷口さんのお話を読むと・・・
全体の工事費の3分の2が助成、3分の1が自己負担となるそうです。
しかしながら助成対象は外側から見える部分だけとなっているので、
例えば道路に面している屋根ならば助成は出るけれど、裏側の屋根は
ダメということです。でも実際の工事で、片側の屋根だけ直すという
ことはしませんよね。また屋根の下地とか戸の裏側なども助成の対象
にはなっていないということから、実際には工事費の半分か、
それ以上の自己負担となるとのこと。大変ですね・・・
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〈吉川〉富小路通御池下ル
「姉小路から富小路通を上がって御池に出る手前、西側やし」
京都の方ならこれで地図無しで行けます。
他所の方はちんぷんかんぷんかな・・・(^_^ゞ
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吉川は1950年創業の料理旅館、小堀遠州作庭といわれるお庭を持つ
大豪商の邸宅であった数寄屋造りのこの館で、天ぷらを中心にした
懐石料理でおもてなし。
敷居が高くてとうてい近寄れない感じですが、お昼は予約無しで
3,000円と4,000円のコースがいただけます。11:00~13:45(L.O.)
但し、30名に達したら営業終了です。
ちなみに2002年、ポール・マッカートニーが来日した折り、京都で
宿泊した宿でもあります。たいそうお気に入りだったようで、宿泊
日程を伸ばしたとか。後にポールの勧めで故ジョージ・ハリスンの
未亡人もここに泊まられたとか。他にもキャメロン・ディアス、
レオナルド・ディカプリオ、ハリーポッターのダニエル・ラドクリフ
なども・・・あちゃらの芸能人には好評のようですね♪
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〈なかむら〉吉川のお向かい、東側です。
「一子相伝 なかむら」、京料理のお舗です。ミシュラン3ツ星。
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創業190年、現在六代目。戦後は近くにある老舗旅館「柊屋」、
「俵屋」などに仕出しをしていたとか。
グジ、鯖、鱧、白味噌の雑煮など京料理の真髄が味わえるかもね。
この界隈、御池通を下がってすぐのところには富小路を挟んで
吉川、なかむら。麩屋町通(ふやちょうどおり)を挟んで
柊屋、俵屋が向かい合っています。そこんとこはまた後日・・・
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2016.1/10、姉小路通 車屋町~富小路にて。
今回は烏丸通から1本東、姉小路通車屋町から富小路くらいまで
老舗の看板、店構えなど見ながらぶらぶらと・・・
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〈亀末廣(かめすえひろ)〉姉小路車屋町 北東角
1804(文化元)年創業の和菓子の老舗。支店や百貨店、ネットでの
販売はせず、本店のみで「一対一の商い」にこだわっている
京都でもひときわ存在感のある老舗です。
京行燈(きょうあんどん)、お店に合わせて亀甲柄になってますね。
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日曜祝日は定休日なので、暖簾(のれん)は出ていませんでしたが、
ガラスに彫られた意匠、扇に亀の絵、亀丸に「すゑひろ」の文字。
暖簾が出ていたら長暖簾に「寿恵飛呂」の変体仮名文字と亀形の丸、
水引暖簾(軒に提げる短いのれん)に扇に亀の絵が書かれています。
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看板は檜の一枚板に山本意山の書によるもの。額には干菓子の型板が
はめられていますね。
京都では和菓子屋といっても「おまんやさん」と「もちやさん」に
明確に分けられます。おまんやさんは普通餅や赤飯を扱いません。
それは、茶道や朝廷の儀式に用いられた菓子を作ることの許された
江戸時代の上菓子屋仲間に由来し、菓子匠、御菓子司と称されます。
京都の子が「おまん、こぉてぇ」(=饅頭買って)と言っても
NGワードではありません、ドキッとしないように。(^_^ゞ
ところで、和菓子店には亀屋○○とか鶴屋○○が多いのですが、
その訳は、江戸時代以前の上菓子屋仲間の中に、五亀二鶴といった
本家筋にあたる五軒の亀屋さんと二軒の鶴屋さんがあり、そこから
暖簾分けされたところが亀屋鶴屋を名乗ったからなんです。
ちなみに京都にある亀屋、創業100年以上の老舗だけでも
亀屋陸奥(1421年創業)をはじめ、亀屋伊織 亀屋清永 亀屋伊織
亀屋清永 亀屋重久 亀屋良長 亀末廣 亀屋良永 てな具合。
この亀末廣が暖簾分けした店も亀廣永、亀廣宗、亀廣保、亀廣脇、
亀屋廣房、亀屋末富(現:末富)と亀だらけ・・・
名古屋亀末廣も暖簾分けされたお店、ここからも暖簾分けしている
のでまだまだ増殖中?
話は逸れますが、「とらや」って東京では老舗中の老舗、
創業・室町時代で490年の伝統を誇っていますが、もともと京都の
お舗。皇室御用達だったので明治になり、天皇について行くため
東京に移ったもの。こういうケースは他業種でも多々みられます。
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〈春芳堂(しゅんぽうどう)〉姉小路通車屋町東入ル
亀末廣の東隣り、創業は幕末1856(安政3)年の表具店です。
ケヤキの一枚板に竹内栖鳳(たけうち せいほう)が53歳の時の
書であり、春芳堂は栖鳳お抱えの店だったそうです。
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〈善田好日庵〉姉小路通東洞院(ひがしのとういん)西入ル
春芳堂の並びです。新古茶道具・美術品を扱う善田昌運堂の庵。
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〈八百三(やをさん)〉姉小路通東洞院西入ル
看板の「柚味噌」は商品名。嵯峨水尾産の上質な柚子を使った
柚味噌を専門に製造・販売されている「八百三」さん。
1708(宝永5)年創業で、看板文字は北大路魯山人の書です。
看板の文字は模刻で、店内に魯山人が自ら彫刻した木板があります。
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「うっとこは、これだけどす」と、さらりと。これしか売ってない。
百年以上一子相伝、秘伝の製法を踏襲されている柚味噌はまさに逸品、
もちろん元祖だとか。恐れ入ります。
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間之町(あいのまち)を通り過ぎ、高倉通を上がって御池通に
出てみました。
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〈御所八幡宮〉御池通高倉 南東角
足利尊氏ゆかりの神社らしい、尊氏と言えば京都室町で
室町幕府を開いた初代征夷大将軍ですね。
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高倉通を挟んで西隣りは〈ホテル ギンモンド〉
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〈細野福蔵商店〉高倉通御池下ル
これまた立派な店舗、法衣・仏具を扱うお店です。
格子窓に駒寄せ、暖簾が出ていなかったのは残念ですが、平日なら
「衣」と一文字大きく書かれている暖簾は印象的です。
アンティークショップのようですね。
〈リビングギャラリー 姉小路高倉〉姉小路通高倉 北東角
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〈堺町画廊〉姉小路通堺町上ル
貸し画廊のようです。シンプルな京町家風情が現代的にも思えます。
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〈和久傳(わくでん)〉姉小路通堺町上ル
1階では「おもたせ」を販売、2階はお茶と甘味をいただける
「茶菓席」。建物奥には、料亭「室町和久傳」になっています。
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〈光泉洞 寿み(こうせんどう すみ)〉姉小路通堺町東入ル
「京町家お昼処」となっています。詳しくは『HP』へ。
畳小窓には季節の花を・・・食事処とは気がつきませんでした。
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〈京の宿 石原〉姉小路通柳馬場(やなぎのばんば)上ル
故 黒澤明監督が定宿にされていたとか。そのせいか、日本の映画人、
俳優がよく利用されるようです。
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〈谷口邸〉姉小路通柳馬場東入ル
「姉小路界隈を考える会」の事務局長をされている谷口氏のお宅です。
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〈三嶌邸〉柳馬場通姉小路下ル
京風すき焼き、お肉の「三嶋亭」の社長さんのお宅だそうで。
散策に行った1月10日は、京都ではまだ松の内(1月15日まで)
こんなお飾りをされるのですね。
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〈あとりえ ぴっころ〉姉小路通富小路(とみのこうじ)上ル
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〈井山邸〉姉小路通富小路 北東角
この門と蔵は蛤御門の変の大火事にも焼け残った由緒あるもの
だそうです。もっと驚くべきことは、1620年頃からのこのお宅から
江戸時代の「町式目」が見つかったのだとか。
町式目とは江戸時代に町の人びとが取り決めた住むための自主ルールの
ことで、これを原典として「姉小路界隈を考える会」が新しく
「姉小路界隈町式目 平成版」を作られたのだとか。
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あちこちでこの立札を見ました。
国交省が「街なみ環境整備事業」というのを行なっており、姉小路も
2003年からその事業に参画しているようです。期限が10年間という
ことなので、もう補助とかは終了してしまったのかな?
姉小路界隈を考える会・谷口さんのお話を読むと・・・
全体の工事費の3分の2が助成、3分の1が自己負担となるそうです。
しかしながら助成対象は外側から見える部分だけとなっているので、
例えば道路に面している屋根ならば助成は出るけれど、裏側の屋根は
ダメということです。でも実際の工事で、片側の屋根だけ直すという
ことはしませんよね。また屋根の下地とか戸の裏側なども助成の対象
にはなっていないということから、実際には工事費の半分か、
それ以上の自己負担となるとのこと。大変ですね・・・
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〈吉川〉富小路通御池下ル
「姉小路から富小路通を上がって御池に出る手前、西側やし」
京都の方ならこれで地図無しで行けます。
他所の方はちんぷんかんぷんかな・・・(^_^ゞ
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吉川は1950年創業の料理旅館、小堀遠州作庭といわれるお庭を持つ
大豪商の邸宅であった数寄屋造りのこの館で、天ぷらを中心にした
懐石料理でおもてなし。
敷居が高くてとうてい近寄れない感じですが、お昼は予約無しで
3,000円と4,000円のコースがいただけます。11:00~13:45(L.O.)
但し、30名に達したら営業終了です。
ちなみに2002年、ポール・マッカートニーが来日した折り、京都で
宿泊した宿でもあります。たいそうお気に入りだったようで、宿泊
日程を伸ばしたとか。後にポールの勧めで故ジョージ・ハリスンの
未亡人もここに泊まられたとか。他にもキャメロン・ディアス、
レオナルド・ディカプリオ、ハリーポッターのダニエル・ラドクリフ
なども・・・あちゃらの芸能人には好評のようですね♪
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〈なかむら〉吉川のお向かい、東側です。
「一子相伝 なかむら」、京料理のお舗です。ミシュラン3ツ星。
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創業190年、現在六代目。戦後は近くにある老舗旅館「柊屋」、
「俵屋」などに仕出しをしていたとか。
グジ、鯖、鱧、白味噌の雑煮など京料理の真髄が味わえるかもね。
この界隈、御池通を下がってすぐのところには富小路を挟んで
吉川、なかむら。麩屋町通(ふやちょうどおり)を挟んで
柊屋、俵屋が向かい合っています。そこんとこはまた後日・・・
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2016.1/10、姉小路通 車屋町~富小路にて。