愛する犬と暮らす

この子たちに出逢えてよかった。

臆病わんこだからなおさら愛しい

2015-06-04 20:41:40 | ルイとの日々
■わかっていながらなお用心するとは
臆病者ぞろいの家族の一員となったルイが臆病わんこになってしまうのは仕方のないことだろう。とくにこのところのルイの臆病わんこぶりは呆れてしまうほどだ。昨日など思わず笑ってしまった。

いつもどおり、午後7時半ごろ、ぼくは家に帰った。ドアを開け、「ただいま?っ!」といって玄関に入ると、たいてい待っていてくれるルイの姿がない。「ルイ、ただいま?っ!」と声をかけながら靴を脱いだ。
「ほら、お父さんじゃないの。どうしたの?」
奥から家人の声が聞こえてくる。
玄関から上がって、リビングの見える位置から奥を見ると、ルイがドアのところでこちらを見ている。どうやら、玄関から入ってきたのが、ぼくだとわかってはいても用心しているらしい。そういえば、このところ、玄関越し、あるいはベランダ越しの物音に神経質な反応をするようになっている。

「ルイ、どうした?」といってリビングへ入ったぼくを確認するとようやく飛びついて「お帰りなさい!」の顔を見せた。とうちゃんが帰ってきたとわかってなお用心するルイの変化もまた、最近、家人と話している「ルイの成長ぶり」の一端らしい。
これが一過性のものなのか、それともルイの生涯の性格になってしまうのか、それはわからない。ぼくとしてはどちらでもいい。


■そろそろ隠語で話そうか
 来月の半ばで満4歳となるルイが、このところ急に変わったという実感がぼくにも家人にもある。総じておとなしくなったし、家人の体調の変化を敏感に感じ取って自分もシンクロしてしまうというのは、先住犬のシェラにもむぎにもなかったルイの神経質な特性である。
 成長とともに、ルイがルイらしく、シェラやむぎになかった個性を見せてくれるのがぼくたちにはうれしい。
 
 顔も成犬らしくなった。聞き分けもだいぶよくなっている。こちらがしゃべっている内容のかなりの部分を理解している。一昨日の夜も、帰宅したぼくに家人が「きょうの夕飯は外へ食べにいっていいかしら?」というのをしっかり聞きとがめ、さっさと玄関へいって扉の前に座っていた。
 そろそろルイの前でも肝心なことは隠語で話したほうがよさそうだ。花火を怖がって、花火と聞いただけで、息が荒くなるシェラの前で、ぼくたちは花火を「たまや」と呼んでいた。

 神経質が臆病に結びついてもいっこうにかまわない。シェラだって臆病だったし、いつもシェラの保護下にいたむぎも弱虫だったのはいうまでもない。わんことはいえ、あの子たちは女の子だったから仕方ないが、ルイの臆病ぶりはオス犬だけにときどき滑稽に思えることがある。
 昔、実家にいたコンリーという名のシェパードの雑種が近所で番を張っていただけに臆病ルイがなおさら可愛く見える。


■いつまで幼さをを残しているのだろう
 成長したはずのルイなのだが、昨夜は妙に気合いが入っていて、しきりに屋内用のディスクをくわえてきてきて「遊ぼう、遊ぼう」と催促した。何度か投げてやって、それをとってきて遊んでいたが、家人が寝室へ入ってクローゼットをあける音を聞きつけるとそちらへいってしまった。家人に対しては、やっぱり、まだ何か気になるものがあるのだろう。
 そのままぼくはソファーで爆睡状態になり、目が覚めると午前1時を過ぎていた。リビングにひとりと思ったら、近くの床にルイが寝ていた。
 
 今朝のルイは昨夜に続いてぼくに好戦的だった。スーツに着替えるため部屋を移動するぼくを追いかけてきて飛びついてくる。
 もしかしたら、週末が近づいているからかもしれない。「今日と明日は会社だけど、明後日はまた休みだから、それまでがまんしろよ」といってきかせた。こちらの顔を見て聞いてはいたが、さすがにこれは理解できなかったろう。

 カバンのベルトに噛みつての抵抗は久しぶりながらパワフルである。
 「なんだ、ぜんぜん成長してないじゃないか。相変わらずガキわんこのままだ」と悪口をならべて玄関に向かい、スマホで写真に撮った。そう、これももうすぐ終わってしまうかもしれない。しばらくやられていなかったときは、一抹の寂しさがあった。
 
 ルイよ、明日も思いきりやってくれ。弱虫わんこでも、こうやって送り出してもらうとき、お前が男の子だと実感する。その寂しそうな顔もとうちゃんはうれしいぜ。