足跡を残す,ということ

2011年09月10日 | 自転車ぐらし
 現在私が所有しているガーミンGarminのGPS(GPSMAP60CS)の累積距離計が,先月,4万キロを超えた。あれま,とうとう地球一周か。軟弱老人がよくもこれだけ走ったものだワイ,なんて言い草もどうかと思うが,とにもかくにも一区切りである。

 改めて確認してみると,本機は2004年12月に購入している。元々は某フィールド業務で山間地域を歩く際に正確な位置出しをおこなう必要があったために入手したもので,要するに野外調査用機器だった。当時は関連ソフトウェアを含めると15万円近くもしたので,零細自営業者における大事な固定資産(償却期間は5年間)でもあった。ただし,その後は仕事で使うことはめったになく,実際上はほとんどが我が自転車の友,プライベート・ツールとなって現在に至っている。そうか,6年がかりでやっと4万キロか。

 ちなみに,私自身の自転車生活というのは,昨今巷間賑々しくもハデハデなローディー諸兄姉や,あるいはお洒落でクラシカルなランドヌール諸氏のように長距離走行を指向するようなスタイルでは全くないので,客観的に見れば積算距離自体はたかが知れているだろう。また,恐らくその9割以上は地元の神奈川県内を走行しているので,鳥瞰的に見れば東西78km,南北60kmに広がる本県のなかでも特に相模川以西の山地,丘陵地などの限られたエリアを飽きもせず懲りもせずチョロチョロ徘徊していたに過ぎないのだろう。「漕ぎ続ければ着くんじゃね?」という至極単純明快なドグマ(教理)が近隣エリアのあちこちで叫ばれているようだけれども,さて,ワタクシはこの先一体何処に辿り着くというのだろうか?

 民俗学者の宮本常一は,その生涯のなかで半世紀あまりのあいだに日本列島の各地をくまなく歩き回り,距離16万キロに及んだという。じつに難儀な人生である。けれど同時にシアワセな人生でもあっただろう。願わくば私もその偉大なる先達の後塵を些かなりとも拝したいと思う。それは決して白装束と菅笠に金剛杖を手にしたスタイリッシュな「御遍路さん」なんぞというオタメゴカシではない。そんなものはハデハデ・ローディー社中御一行様にでも任せておけばよい。 われわれは一体何なのか? そしてわれわれは一体何処へ行くのか? できうる限りたくさんの世界,たくさんの風景,たくさんの暮らしぶりを,自らの目で,自らの五感で直に見聞きすること。この限られた時間のなかで,限られたジンセイのなかで,少しでも多く世の中の「ありよう」を知ろうと努めること。そのためにこそ自転車は私にとって有力な相棒となり続けるのだ。たとえそれが車重15kgを超える鈍重なオンボロ自転車であったとしても(汗)

   Va! petit frere
   La terre est grande
   C'est un joli jardin
   Quand il est midi plein

    さぁ出掛けるんだ,友よ!
    大地は君の前に広がっている
    輝ける太陽の下
    世界は美しい庭園なんだ

 ずっと昔,そんな風に力強く,しかし軽やかに歌っていたポール・ルカPaul Loukaのことを思い出しながら,さてと,明日は自転車で何処に行こうかナ?
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