クルマから自転車へ

2004年01月18日 | 自転車ぐらし
 我が家の家族構成はオトナ2人,コドモ2人,ネコ1人の計5人である。そして,先日も一寸記したように小型自動車を1台所有している。そのクルマは既に8年以上を経てかなり草臥れた全長4mそこそこのツーボックス・カーであるが,幸いにして未だ大きなトラブルを起こしたこともなく(せいぜい自宅の壁面に衝突・自爆したくらい(^^;),無事是名馬とばかり東西8km,南北4kmほどの小じんまりした我が盆地内のアチコチを日々健気にも果敢にも走り回っている。盆地外の遠方にクルマで出掛けることは最近ではめったになくなってしまったので,4+1人の家族をまかなうにはこれで十分すぎるくらいだ。一部には,もっと大きなクルマがいいな~,などという声も聞かれるようだが,私自身としては,フトコロ具合が許せば即座にもっと小さなクルマに変更したいくらいだ。こんなのって非国民デショウカ?

 その代わり,といっては何だが,自転車なら我が家には合計5台もある。ひとり1台相当だ! いや,別に威張って言うわけではございません。だいたい,一般的なクルマの100分の1程度の価格で所有することが出来,しかもその維持費たるやクルマの1万分の1以下くらいしか見込まれない,それはチープでライトでリーズナブルな移動ツールであるわけだからして,常識的に考えればそのような選択もごく自然のなりゆきなのであって,別にエラソウニ自慢する事柄ではない。

 という次第で,話題はクルマから自転車へと移行する。昨年夏のことになるが,それまで我が家で使われていた4台の自転車(父・母・兄・弟の各専用車)が,まとめて一気にリフレッシュされた。各自の自転車とも,それぞれに年月を経てかなり劣化してきたことがひとつ,とりわけ子供らに関しては身体的成長に伴い自転車サイズが大分合わなくなってきたことがひとつ,さらには,これは主として父の主導によるものだが,毎日のイナカ暮らしのなかで自転車ライディング,ツーリングの楽しみを家族のひとりひとりがもっと積極的に享受しようじゃないか! それには新しい自転車で気分も新たに走り出そうじゃないか! などと目論んだことがひとつ。(最後の理由は,ま,御愛敬ですが)

 新規購入した車種は以下のとおりである。母はママチャリ(トップバリュー・オリジナル/カラーシティー273),アキラはマウンテンバイク・モドキ(ブリジストン/エクスプレスジュニアNEJ226),タカシは純正マウンテンバイク(ジャイアント/MTX-240),父はスピード系クロスバイク(ジャイアント/CRS-1)。購入先は,前2者についてはごく安直にジャスコの自転車売り場で適当に見繕った。しかし,後2者についてはそれなりに少々値が張るものだから,インターネットの自転車屋さんサイトを丹念に検索し,安くて信頼のおけそうな店を探し出して通販購入した。何分にも人気車種ゆえ,入手までに1ヶ月近くかかった。防犯登録は地元の自転車屋さんに持ち込んで済ませた。

 そうやって目出度くも4人の自転車が全て新車になったわけである。従来各人が使用していた古い自転車は,アキラ・タカシ・母のものについては,いずれも即座に廃棄処分とした(情けは無用)。しかしながら,もう1台,父が乗っていたMTBだけは,捨てるには惜しいのでそのまま据え置いた。それは当地に転居してまもない頃に地元のダイナミック・ディスカウントストア・ダイクマで購入したもので,少なくともダイクマの売り場のなかでは飛びっきりの上級車であった(お里が知れるけど)。以後,現在までにトータルで1万km以上は走ったのではなかろうか。それなりに愛着も深い。頑丈なタイヤも擦り切れてしまったため一度交換したが,現在では再び覚束ない状態となっている。ただし悪路にはめっぽう強いことから,父はクロスバイクとMTBの2台所有者となった。

 そして,その時から自転車三昧の日々が始まった。

 ここで私共家族が居住するエリアの地形的特性を記しておくと,東経139度12分,北緯35度23分,海抜144m付近に位置する拙宅の日常生活圏としては,子供らの通う学校(標高175m),市立図書館(同150m),皮膚科クリニック(同204m),赤十字病院(同115m),市役所(同106m),秦野駅(同95m),交通公園(同65m)などなど,全体として高低差100~150mあまりの複雑な起伏が分布しており,隣接する小田原市や平塚市のような沖積低地に立地するペッタンコの町とは基本的に異質の地理的条件下にある。クルマなら単にブイブイいわせて走ればいいのだが,これらの坂道を徒歩で上ったり下ったりするのは,なかなかシンドイ。ましてや自転車を走らせるとなると,登り坂の困難さは,自転車の重量および本人の体重の合計が直接負荷となってくるわけであるから,尚更のこと我が身に重くのしかかる。

 父はだいたい,雨の日を除いて平日は平均15km前後を自転車でコンスタントに走る。風を切って坂を上ったり下ったり,交通量のごく少ない平坦な道は40km/hくらいのトップスピードで突き抜けたり,時には意地になって急勾配の坂をヨイショヨイショと登ったりもする。これに対して,子供らは平日はほとんど自転車に乗らない(せいぜい,タカシが塾に乗っていく程度)。母も全くといっていいほど乗らない(もっぱらクルマばっかり)。その結果,父は常に孤独なロードバイカーとなる。いやいや,それがなかなか楽しいんですけどネ。

 それでも休日などには,家に籠もりっきりの出不精アキラを誘って,図書館とかダイクマとかブックオフとか方面に自転車で一緒に出掛けることも時々ある。その場合,葛葉川の河岸段丘上に位置する我が家(盆地の北端)から水無川沿いの運動公園(盆地のほぼ中心部)を経由してゆく往路は高低差約30mの下り坂ラクチンコースが選ばれることが多く,それは必然的に復路には同じ高低差のつらい登りがあることを意味する。通称「ウオフミの坂」とか「ジョーヤの坂」とか「ホームキョクの坂」とか「カツハチアンの坂」とか,その時々の気分によって選択される坂道の傾斜度は異なるが。 また別の日には,行き先を変えてちょいとジャスコ(標高105m)まで自転車で買い物に出掛けたりもする。その場合は拙宅から高低差40mを下ってゆくことになり,そこからさらに足を伸ばしてアキラお気に入りのトイザラス(標高75m)にも行こうとするならばさらに30m下ることになる。すなわち,こちらの方の帰り路は高低差70mの辛い登り坂が待ち受けているわけだ。

 ことほどさように,当地において自転車主義者を標榜することは,子供らにとってはある種の「試練」を背負うことになるといっていいかも知れない。身体鍛錬と行動抑制との狭間で悩み,欲望と諦念とを天秤にかけつつ心が揺れ動く日々も,彼らにとっては恐らく多いことだろう。けれど甘えは禁物である。艱難汝ヲ玉ニス。頑張るんだよ子供たち!と無力な父は心中で祈らずにはいられない。

 そんなわけで,我が国の自転車産業界におかれては,とりわけ子供用の自転車に関して,イタズラに「見てくれ勝負」のチャラチャラ装飾を付加したりすることはホドホドにして,何よりもまず走りの基本性能がしっかりとした良質な自転車の開発・販売に努められんことを強く望む所であります。 (なおこの話題,さらに続くかも知れない。 トホホ)
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