平御幸(Miyuki.Taira)の鳥瞰図

古代史において夥しい新事実を公開する平御幸(Miyuki.Taira)が、独自の視点を日常に向けたものを書いています。

ロシアの威信をかけて~タラソワの思い

2007-10-15 12:32:53 | Weblog
 日米対抗でベールを脱いだ真央ちゃんのショートプログラムは、タラソワ先生の振り付けということで殊更注目されていました。それは、タラソワ先生が異例の申し出をしていたからです。

 タラソワ先生が真央ちゃんを見初めたのが、昨年のグランプリファイナルのショートプログラムです。ほぼ完璧な演技で戻ってきた真央ちゃんは、リンクから上がる直前に右側をちらっと見ています。これは、解説席にあったタラソワ先生が声を掛けたからです。テレビ画面では、この声はほとんどかき消えていますが、演技直前の映像では、タラソワ先生が真央ちゃんとラファエルコーチを交互に観ているシーンがあります。滑る前から余程気になっていたのでしょうね。

 タラソワ先生の申し出は、実質コーチでありながら、振り付けのみの費用をお願いするというものでした。真央ちゃんサイドに配慮して、新採点のスペシャリストを用意し、ボリショイ出身のバレエのコーチを付けたり、バレエを鑑賞させたり、食事のアドバイスまで至れり尽くせりの待遇だったようです。

 タラソワ先生は真央ちゃんをマオザイチカ(真央うさぎ)と呼んでいるそうで、練習画面でも笑顔が絶えません。教えるのが本当に楽しそうです。でも、タラソワ先生にとっては、これが最後のコーチかもしれないと噂されています。ロシア・フィギュアスケート界の重鎮にありながら、他国の選手に肩入れするのは何故でしょうか?それは、タラソワ先生はロシアの威信をかけているからです。

 ロシアで開催された昨年グランプリファイナルは、疑惑の毒物事件によって、ロシアにとって恥ずべき運営となりました。こんなグタグタな大会は前代未聞です。ロシアは芸術の国。タラソワ先生でなくとも、ロシア人はフィギュアスケートに誇りを持っているのです。それが散々な運営でミソを付けました。この汚名をどうしたら晴らせるのか?その答えは、ロシアの威信にかけて、被害国の日本に手を差し伸べることです。でもそれは、政治的なものではなく、振り付けの技術を伝えるという方法で為されたのです。

 真央ちゃんレベルの選手であれば、誰でもコーチをしたくなります。タラソワ先生もオリンピックで唯一取っていない金メダルが女子シングルですから、真央ちゃんなら彼女のキャリアに栄光を追加してくれるかもしれません。でも僕は、タラソワ先生が個人的な理由で真央ちゃんをコーチするとは思えないのです。タラソワ先生が行っていることの本質は、現役選手に対する最大の敬意表明であると共に、未来の指導者に対する手引きなのですから。

 真央ちゃん世代がやがて引退し、それぞれがコーチなどで指導者となる時、今回真央ちゃんが受けた厚遇とプログラムは、やがて次世代に受け継がれることになります。ロシア芸術の伝統は、こうして日本に根付くのです。タラソワ先生の描く遠大な計画。それは、一人の芸術家として、愛するロシアの威信をかけた、フィギュアスケート発展を願う心そのものなのではないでしょうか。

 以下の映像はこちら(右クリックで新しいタブで開く)

 10月9日 テレビ朝日 浅田真央、ロシアで磨く優雅な大人の表現力
 10月14日 TBS  フィギュア祭り浅田真央&安藤&高橋ぶっちゃけトークGP

 参考 バレエの先生のサイト(右クリックで新しいタブで開く)
     Tatiana Stepanova Ballet Academy
    
    エフライム工房 平御幸
コメント (4)
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