労働基準法3条の労働条件には、「採用」は含まれない。
従業員採用にあたっては、誰を雇うかは、原則として会社の自由です。これは、憲法に直接の規定があるわけではありませんが、22条(職業選択の自由)や29条(財産権の保障)等の解釈として、「営業の自由」として保障されているところです。労働基準法3条は、信条を理由として、労働条件について差別的取り扱いをしてはならないとされていますが、これは「雇い入れ後における労働条件の制限であって、雇い入れそのものを制約する規定ではない」(昭48.12.12三菱樹脂事件)とされています。
そこで、だれを雇うかは、面接等を行うなどを行って、会社の自由な基準で採用することができます。どっかの会社のように、「ついてる人」を採用することだって、もちろんあり得ます。
ただ、次の法律には留意しなければなりません。
1 男女雇用機会均等法
性別を理由とした募集・採用差別を禁止。採用・募集の際、ウェイトレス、カメラマンなど性別を表すことばだけでなく、身長・体重・体力要件をつけること、いわゆる総合職の募集・採用にあたり転居を伴う転勤要件を付けること等を禁止
2 雇用対策法
募集採用について、年齢にかかわりなく雇用の機会を求める。
3 労働組合法
労働組合から脱退することを雇用条件とすること、又は労働組合に加入しないことを条件に採用することなどを禁止。
4 障害者雇用促進法
事業主に対して一定比率以上の障害者雇用を義務付ける。
以上ですが、注意すべきは、いずれも、採用・募集の際に平等の機会を与えるというということであって、職歴・能力などの面から採用した結果が、男性ばっかりだったりすることだって、ありうるわけです。雇用の「機会の平等」さえ守れば、違反はしないことになります。ただ障害者雇用促進法にあっては、一定率の障害者を義務づけており、守らなければそれだけのデメリットがあるということで、誰を雇うかは自由とはいえ、一定のしばりがあることには違いありません。そこで、思うところ、障害者率を満足しない自治体で良くとられている方法としては、「障害者枠」を設けて採用するという方法もとられていましたね。
<参考> ビジネスガイド2011.11 採用・内定・試用期間をめぐるグレーゾーンQ&A 向井蘭 著
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