元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

就業規則の周知をしない場合のデメリットについて!!

2011-11-16 04:25:55 | 社会保険労務士
 

就業規則周知がなければ、懲戒処分もできないことになります!!

、委託の職業訓練の手伝いをさせてもらっており、「人事労務の基礎知識」という講座の講師をしています。その中で、就業規則を見た方がありますかと聞いたら、あまり手が上がらなっかったところです。それが本当とするならば、彼らの勤めていた会社では、労働基準法第106条の就業規則の周知をしていないことになります。この場合の周知方法も規定されていて、1、常時の作業場の掲示、2、書面の労働者への交付、3、パソコン等の磁気媒体での常時確認できる機械の設置の方法によるとなっています。これは、やかましいことを言うならば、法令違反ということになり、30万円以下の罰則となります。
 
 と言うよりは、むしろ周知しないことからくるデメリットが大きいのではないかと思われます。「就業規則が法的規範としての性質を有するものとして、拘束力を生じるためには、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続きが採られていることを要するというべきである。」(フジ興産事件・最2小平15.10.10)とされ、法的規範としての就業規則といえるためには、まずもって従業員がこれを知る得る状態にあることが必要であり、実質的な周知が必要であるとされています。ということは、こういった周知の状態にない限り、就業規則の拘束力は生じていないところであり、就業規則に懲戒の規定があって、当該規定に基づいて従業員を辞めさせようといっても、出来ないことになります。
 
 また、「労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を周知させていた場合には、労働契約はその就業規則で定める労働条件による。」(労働契約法第7条)とされていますが、これも周知していない限りは、就業規則は、労働契約の意味をなさないことになります。日本の一般的な労働契約は、「労働します、賃金の支払い」の合意だけですませる場合が多いので、詳細な労働契約が必要になりますが、周知がない限り、代わるべき労働契約としての就業規則もないことになります。

 さらに、「労働者と合意できなかった場合であっても、就業規則の変更により労働条件を不利益に変更する場合については、変更後の就業規則を労働者に周知させたうえで、就業規則の変更が一定の事情に照らして、合理的なものであるときは、その変更後の就業規則による。」(労働契約法10条)とされていますので、これまた、就業規則を不利益に変更する場合については、必ず労働者への周知が必須の要件とされています。会社が利益の改善等の図るためには、どうしても労働者の労働条件の不利益な変更に持っていかざるを得ない場面も出てくると思うのですが、いかがでしょうか。。

 総じて、労働者を統制していくうえで必要な就業規則に関するものとして、いずれも労働者への周知が必ず必要とされるものということができます。懲戒処分であれ、詳細な労働契約を必要とした場合であれ、労働条件の不利益変更であれ、必ず労働者への周知は必要べからざるものなのです。そうでなければ、労働者への統制は不可能になるのです。

 これらのデメリットを考えたとき、周知徹底はやはり必要なのではと考えますが、いかがでしょうか。

*労働契約法での周知については、労働基準法による周知とは違って、一定の定められた方法は必要とされていません。


   #####<いつも読んでいただきありがとうございます。>####

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする