元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

医療過誤の申し立てをする場合は、まず証拠保全を!!

2013-05-12 04:39:02 | 社会保険労務士
 証拠保全手続きは弁護士にお願いするしかありません。

 病院に勤めていたころ、病院が訴えられた医療過誤は、そう多くないが一つ2つは抱えていた。多いのではないかという方もいるとは思うが、某公立病院での話なので、患者も多く、最高の水準の医療を求めて来院しても亡くなる方も多く、そこは理解していただきたい。

 そのころ、同じ某公立病院で裁判のための「証拠保全」の現場が、テレビで放映されたことがあるが、これは、私には、当時衝撃を与えたが、冷静に考えると、そのリスクは、次のように、いつも抱えていると言わざるを得ない。

 医療過誤(過失によってよって生じた医療事故)によって、訴える、訴えられることは、医者にかかっている以上、起こりえることです。というのは、一般の契約は、その家の構造・大きさなどが決まって設計図が出来ており、どんな家を建てるのかが決まっています。ところが、医者との契約は、「もし検査・診断を行い、病名を付けましょう。治療法があるなら、治療をしましょう」ということであり、治療法についても、「その時の医療水準に基づいた治療」であり、どんな水準なのかはっきりせず、大学病院と地域の医療でも違ってくるからである。

 このようにその医療行為の内容が、確定的に決まっているものではないので、最高の水準の医療を受け、完全に治してほしいという患者の願いとは、違ってくることも多い。ここに、医療過誤が生じる可能性は、非常に多いことになる。

 ところが、ある人が書いていたが、裁判にある件数は、2割ぐらいと言っていた。医療側との話し合いで決着がつくのが、文句を言うだけのものを含めて、大半だからである。当然ながら、示談で決着がつくのは統計にないので、推測になる。

 医療訴訟を含めて医療のトラブルは、患者が医師の不法行為による責任(故意・過失による権利侵害による損害賠償)を追求するときは、患者が立証しなければなりません。しかしながら、しろうとである一般の患者には、無理なうえ、プロであると仮定しても、その材料は、病院側にあります。カルテ、看護記録、検査記録、X線等照射記録等は病院が保管しているのです。病院側がトラぶった場合は、カルテなどの記録を書きなおすことも考えられます。(ただし、契約による債務不履行による損害賠償で訴えを起こすことも考えられますが、この場合は、患者側に立証責任はなく、医師の側にあります。)

 そこで、患者側は病院との交渉前に、裁判所に証拠保全の申し立てを行って、記録を写真撮影したり、コピーしておくのである。こうすれば、記録の改ざんを防ぐことができます。今までの説明で分かると思いますが、交渉前に「こっそり」とやらなければなりません。(ということになれば、冒頭で述べた「証拠保全」のテレビ報道はなんだったのか。マスコミによるアナウンス効果しか考えられません。)

 この証拠保全の手続きは、一般の方はやるのがむつかしく、そこは手続きのプロである弁護士にお願いするしかありません。
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