ただ、個人事業主の死亡によりその相続人が営業を継続するときは労働契約は存続しているとの地裁判例もあるが・・・
労働契約の終了には、大まかに分けると、(1)使用者からの一方的な契約の解約=いわゆる「解雇」と(2)労働者からの一方的な解約=いわゆる「辞職」と(3)使用者と労働者双方の合意による解約=合意解約があるが、これとは別に、労働契約当事者の「消滅」によって労働契約が存続しなくなる場合がある。企業は、法人格を有する場合があり、解散等により法人格がなくならない限り、企業の法人格は存続することになる。しかし、自然人である場合は、企業はその個人の死亡により、労働者の場合は労働者本人自身の死亡により、労働契約上の地位は一身専属的なもの(その人のみの権利義務)と考えられているので、相続の対象とはならずに、労働契約は終了するとされている。(エッソ事件・最2小判平成元・9・22)
わざわざこの個人の死亡による労働契約の終了を持ち出すのは、一般的には、労働者あるいは個人企業の本人の死亡により、労働契約は継続することなく、終了してしまうというのが現実的な帰結であるから、ここで改めて、個人の死亡によって労働契約は終了するというのを認識するのも必要かと思った次第である。
ただ、地裁の裁判では、個人事業主がなくなっても、相続人が営業を継続する場合には、相続人と労働者の間には労働契約が存続しているというものもある。(小料理屋「尾婆伴」事件・大阪地決平成元・10・25)
しかし、この場合は、「死亡した個人事業主の相続人が従業員とともに事業を承継し営業を続けているのであり、新しい個人事業主である相続人と従業員との間で黙示の労働契約が成立していると認められることが多いであろう」(府中おともだち幼稚園事件ー東京地判平成21・11・24参)と菅野著労働法では言っているが、そう考えるのが現状の解釈からいって適当であろう。
労働契約の終了には、大まかに分けると、(1)使用者からの一方的な契約の解約=いわゆる「解雇」と(2)労働者からの一方的な解約=いわゆる「辞職」と(3)使用者と労働者双方の合意による解約=合意解約があるが、これとは別に、労働契約当事者の「消滅」によって労働契約が存続しなくなる場合がある。企業は、法人格を有する場合があり、解散等により法人格がなくならない限り、企業の法人格は存続することになる。しかし、自然人である場合は、企業はその個人の死亡により、労働者の場合は労働者本人自身の死亡により、労働契約上の地位は一身専属的なもの(その人のみの権利義務)と考えられているので、相続の対象とはならずに、労働契約は終了するとされている。(エッソ事件・最2小判平成元・9・22)
わざわざこの個人の死亡による労働契約の終了を持ち出すのは、一般的には、労働者あるいは個人企業の本人の死亡により、労働契約は継続することなく、終了してしまうというのが現実的な帰結であるから、ここで改めて、個人の死亡によって労働契約は終了するというのを認識するのも必要かと思った次第である。
ただ、地裁の裁判では、個人事業主がなくなっても、相続人が営業を継続する場合には、相続人と労働者の間には労働契約が存続しているというものもある。(小料理屋「尾婆伴」事件・大阪地決平成元・10・25)
しかし、この場合は、「死亡した個人事業主の相続人が従業員とともに事業を承継し営業を続けているのであり、新しい個人事業主である相続人と従業員との間で黙示の労働契約が成立していると認められることが多いであろう」(府中おともだち幼稚園事件ー東京地判平成21・11・24参)と菅野著労働法では言っているが、そう考えるのが現状の解釈からいって適当であろう。