費用負担を事前に就業規則記載→定めないときは会社の負担/ テレワーク手当の問題
テレワークにおいて、在宅勤務の場合は、従業員が業務に使用する電話・FAX・メールなどの通信費用がかかってきます。これについて、従業員から通信費の請求があったときは、どう対処すべきでしょうか。
労基法89条5号の規定では、就業規則の作成において「労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項」を記述しなければならないので、労働者に通信費用の一部・全部の負担をさせる場合は、就業規則に記載する法的義務があることになる。
しかし、問題は、従業員の家庭において、業務に使用した通信費がいくらと出せるところは、まずありえないのではないかと思われます。そこで、通信費相当額の見合い額を見積もりや従業員との話し合い等の上で、一律の固定額を費用負担することが対応策として考えられます。
このことから、自宅勤務者に対して、一定の額を「テレワーク手当」として支給することによって、その費用の一部として考える企業もあるようです。この手当として出す場合は、単なる支弁された費用でなく「賃金」として考えること※になりますので、テレワーク規程だけでなく賃金規程にも手当の規定を入れる必要があります。さらに、残業手当の計算の基礎にも含める必要も出てきます。
※ただし、出張旅費のように業務遂行に必要な費用(いわゆる実費弁償)として、実費精算するということであれば、賃金とはいえない。
また、テレワークにすることによって、通勤の要する手当=通勤手当はいらないだろうと、通勤手当をテレワーク手当に変更するところもあるようですが、賃金規程の変更だけでなく、通勤手当が所得税非課税(一定額まで)なのに対して、テレワーク手当になると課税されますので、給与計算上注意が必要です。
これらの規定を就業規則に盛り込まなかった場合や急な政府の要請等により在宅勤務が急に決定された場合など通信費に関する事前の合意さえなかったときは、どうなるかということですが、会社の勤務場所の変更により「新たに生じた履行の費用」として、会社の方に負担義務があると考えられます。(※民法485条ただし書き)。したがって、この場合には、従業員が負担していた費用について、会社はその額を従業員に支給しなければならないことになりますので、相当な注意が必要です。
※弁済の費用について別段の意思表示がないときは、その費用は債務者の負担とする。ただし、債権者がその住所の移転その他の行為によって弁済の費用を増加させたときは、その増加額は、債権者の負担とする。
テレワークにおいて、在宅勤務の場合は、従業員が業務に使用する電話・FAX・メールなどの通信費用がかかってきます。これについて、従業員から通信費の請求があったときは、どう対処すべきでしょうか。
労基法89条5号の規定では、就業規則の作成において「労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項」を記述しなければならないので、労働者に通信費用の一部・全部の負担をさせる場合は、就業規則に記載する法的義務があることになる。
しかし、問題は、従業員の家庭において、業務に使用した通信費がいくらと出せるところは、まずありえないのではないかと思われます。そこで、通信費相当額の見合い額を見積もりや従業員との話し合い等の上で、一律の固定額を費用負担することが対応策として考えられます。
このことから、自宅勤務者に対して、一定の額を「テレワーク手当」として支給することによって、その費用の一部として考える企業もあるようです。この手当として出す場合は、単なる支弁された費用でなく「賃金」として考えること※になりますので、テレワーク規程だけでなく賃金規程にも手当の規定を入れる必要があります。さらに、残業手当の計算の基礎にも含める必要も出てきます。
※ただし、出張旅費のように業務遂行に必要な費用(いわゆる実費弁償)として、実費精算するということであれば、賃金とはいえない。
また、テレワークにすることによって、通勤の要する手当=通勤手当はいらないだろうと、通勤手当をテレワーク手当に変更するところもあるようですが、賃金規程の変更だけでなく、通勤手当が所得税非課税(一定額まで)なのに対して、テレワーク手当になると課税されますので、給与計算上注意が必要です。
これらの規定を就業規則に盛り込まなかった場合や急な政府の要請等により在宅勤務が急に決定された場合など通信費に関する事前の合意さえなかったときは、どうなるかということですが、会社の勤務場所の変更により「新たに生じた履行の費用」として、会社の方に負担義務があると考えられます。(※民法485条ただし書き)。したがって、この場合には、従業員が負担していた費用について、会社はその額を従業員に支給しなければならないことになりますので、相当な注意が必要です。
※弁済の費用について別段の意思表示がないときは、その費用は債務者の負担とする。ただし、債権者がその住所の移転その他の行為によって弁済の費用を増加させたときは、その増加額は、債権者の負担とする。