東大植物学教室へ万太郎を迎入れた田辺教授の思惑は何=地位・名誉欲?
NHK朝ドラ「らんまん」には、槙野万太郎の人生に影響を与えた多くの人々が登場する。まずは、これは人物ではないのだが、彼は大きな酒造りの商家「峰屋」の当主として、生まれたことが大きい。母も彼が幼い時に亡くしてしまったが、特に高価な本も取り寄せられるほど何不自由なく育ててくれたのは、祖母のタキ(タキから万太郎の目付け役を命じられた竹雄も加えられるが・・・)である。そして草花が好きであった万太郎に植物にはそれぞれ名前があるのを教え、植物に関する本を紹介してくれた名教館の池田蘭光学頭、小学校も出ていない万太郎に東京大学植物学教室への出入りを許した田邊教授、万太郎の才能をねたんでか出入りを差し止めた田邊教授であったが、それを東大植物学教室の助手として迎い入れた田邊教授の後任の徳永教授。
そして、東大学生で万太郎と共に学び後に農業大学の教授までになった波多野。最初は拒んだ万太郎であったが、植物学に貢献した万太郎が「理学博士」を受けなければ、日本の植物学の研究は世界から笑われるからとまで言い切り、徳永教授と「理学博士への推薦」を行ったのが、この波多野であった。また、金銭に余裕のない万太郎に植物標本を買い取り版元を買って出た永守家の当主の永守徹。最後になったが、特に財政面で家計を支え万太郎の研究を誰よりも理解してくれた妻の寿恵子である。これらの人々は、万太郎が植物学を日本の土に根ずかせ植物図鑑としての完成に、それぞれの形で導いてくれたといえるのだ。
人は死んでからも、何度でも生まれ変わり、また新しい使命をもって生まれてくるというが、その中でも、同じグループで生まれ変わりを繰り返し、特に強い結びつきである意識体同士を「ソウルメイト」という。前世の記憶を呼び覚ます「退行催眠」という方法で「精神医学の治療法」を行っているワイス博士は、「ソウルメイト」について次のように要約し語っている。「ソウルメイトたちとともに、切磋琢磨してお互いに成長しながら、私たちは、生まれ変わりの階段を、ひとつずつ昇っていくのです。昔からの悪い癖を克服し、愛と喜びを十分に味わい、怒りや恐怖を消し去っていくのです。今回の人生と同じ関係、同じ状況ではないかもしれませんが、例えば父と娘、友人、兄弟、おじいさんと孫といった関係として、これからも、何回も何回も出会いを続けていくのです。」(完全版「生きがいの創造」P398~399、飯田史彦著、PHP文庫)
今回の万太郎の人生においては、彼が最終的に植物図鑑を完成をするように、このソウルメイトたちが導いてくれました。時には、田邊教授のようにイヤーな役を演じていても、とにもかくも植物「学」の門を開いてくれた人物のように、良い役ばかりではなく「悪役」として登場することもあるのです。これらに人々に対しては、来世において、今度は万太郎がある意味でこのソウルメイトのために、何かの「恩返し」をするようになっているのかもしれません。このように、ソウルメイト同士はお互い切磋琢磨しながら、共に助け助けられながら、それぞれ各人の魂のレベルが上がっていくようになっているというのです。
このドラマの実在のモデルとなった牧野富太郎博士についても、はぼほぼ同じような実在の人物がいたようだが、これらの人々は、ほとんどこのソウルメイトであると思われるのだ。中には、一回限りのこの世の出会いというのがあるとしても・・・。ただ、坂本竜馬やジョン万次郎は、ドラマでは主人公に崇高な志を教える登場人物となっており、確かに同時代に生きた人物であるが、このドラマの脚色である可能性が高いと思われる。