親と会社との「労働契約」でもない、無名契約と考えられる!!
未成年者の一般的な契約については、親等<*1>が代理して契約を締結することができる(民法824条1項)とされていますが、たとえ子の同意(民法824条2項)を得たとしても、労働契約においては、親等が代わって契約を締結することはできません。(労基法58条1項)そこで、未成年者の労働契約は、親等の法定代理人の同意の下で、未成年者本人が契約を締結することになります。(民法5条1項)<*1>
また、賃金についても親等は代わって受け取ってはならず、未成年者は、この場合には、全く「独立して」賃金を請求できることになっています。(労基法59条)
ところで、年齢的には、原則は満15歳に達した後の3月31日が過ぎなければ、使用者はこれらの児童を労働者として使用できないことになっていますが、非工業的業種については、健康・福祉に有害でなく軽易な労働という条件で、行政官庁の許可を受けて、満13歳以上の児童についても修学時間外に使用することができるとされております。映画の製作や演劇の子役については、満13歳未満であっても、同様に行政官庁の許可を受ければ使用できることになっています。(労基法56条1項・2項)すなわち、いわゆる子役については、年齢制限はないことになり、必要であれば子役として0歳から使用できることになります。
しかし、この場合に、労働基準法からいえば、親等の同意を必要するとはいえ、基本的には、未成年者本人が労働契約を締結し、賃金を請求することが基本となっているところ、子役といえども年齢は様々で、二桁代の年齢<*3>(11歳~)になれば、意思表示は可能で労働契約を結ぶことも可能と思われますが、いわゆる幼児や乳児などが本人自ら労働契約を結ぶことができるでしょうか。例えば極端に言えば、生まれてあまり経ってない赤子が子役(?子役なの)で出演していますが、そこまでいかなくても乳児や幼児の子役については、もともと意思能力がないとされていますので、契約を結ぶ能力もないとされているところです。となれば、これらの乳児・幼児が本人自ら労働契約を結び、本人が独自に賃金を請求すること(労基法58条、59条)は不可能です。
これら乳児・幼児については、意思表示ができないのですから、労働契約は締結できず、上記の労基法58条、59条は適用されないと解すべきでしょう。
これら乳児・幼児の出演契約は、親等と会社との間の特別な契約=無名契約とみるべきでしょう。<労働法実務講義第3版P737・大内著>
とすれば、この契約は「労働契約ではなく」、これら乳児・幼児については、労働者ともいえないところですが、乳児・幼児についても少なくても(準)使用従属的な立場にはあると考えられますので、労働者の保護として規定されている他の労働基準法の規定は、準用又は適用することになるのでしょう。
<*1>以下、親または未成年者後見人を併せて「親等」としている。
<*2>この場合、未成年者については、職業自体を営むために親等の親権者の許可がなければなりません(民法823条1項)ので、まず職業についての親等の許可を得たうえで、さらに親等の同意の下で労働契約を締結することになります。もし親等の同意がなければ、その労働契約は、親等か未成年者本人が取り消すことができます。(民法5条2項)
<*3>意思能力があるとされるのは、7歳~10歳以上からとされるが、事案によって具体的には判断される。なお、児童福祉法では、1歳未満を乳児、1歳以上小学校入学前の未就学児(満6歳未満)を幼児と呼んでいる。
参考:労働法実務講義第3版・大内伸哉著、日本法令出版
未成年者の一般的な契約については、親等<*1>が代理して契約を締結することができる(民法824条1項)とされていますが、たとえ子の同意(民法824条2項)を得たとしても、労働契約においては、親等が代わって契約を締結することはできません。(労基法58条1項)そこで、未成年者の労働契約は、親等の法定代理人の同意の下で、未成年者本人が契約を締結することになります。(民法5条1項)<*1>
また、賃金についても親等は代わって受け取ってはならず、未成年者は、この場合には、全く「独立して」賃金を請求できることになっています。(労基法59条)
ところで、年齢的には、原則は満15歳に達した後の3月31日が過ぎなければ、使用者はこれらの児童を労働者として使用できないことになっていますが、非工業的業種については、健康・福祉に有害でなく軽易な労働という条件で、行政官庁の許可を受けて、満13歳以上の児童についても修学時間外に使用することができるとされております。映画の製作や演劇の子役については、満13歳未満であっても、同様に行政官庁の許可を受ければ使用できることになっています。(労基法56条1項・2項)すなわち、いわゆる子役については、年齢制限はないことになり、必要であれば子役として0歳から使用できることになります。
しかし、この場合に、労働基準法からいえば、親等の同意を必要するとはいえ、基本的には、未成年者本人が労働契約を締結し、賃金を請求することが基本となっているところ、子役といえども年齢は様々で、二桁代の年齢<*3>(11歳~)になれば、意思表示は可能で労働契約を結ぶことも可能と思われますが、いわゆる幼児や乳児などが本人自ら労働契約を結ぶことができるでしょうか。例えば極端に言えば、生まれてあまり経ってない赤子が子役(?子役なの)で出演していますが、そこまでいかなくても乳児や幼児の子役については、もともと意思能力がないとされていますので、契約を結ぶ能力もないとされているところです。となれば、これらの乳児・幼児が本人自ら労働契約を結び、本人が独自に賃金を請求すること(労基法58条、59条)は不可能です。
これら乳児・幼児については、意思表示ができないのですから、労働契約は締結できず、上記の労基法58条、59条は適用されないと解すべきでしょう。
これら乳児・幼児の出演契約は、親等と会社との間の特別な契約=無名契約とみるべきでしょう。<労働法実務講義第3版P737・大内著>
とすれば、この契約は「労働契約ではなく」、これら乳児・幼児については、労働者ともいえないところですが、乳児・幼児についても少なくても(準)使用従属的な立場にはあると考えられますので、労働者の保護として規定されている他の労働基準法の規定は、準用又は適用することになるのでしょう。
<*1>以下、親または未成年者後見人を併せて「親等」としている。
<*2>この場合、未成年者については、職業自体を営むために親等の親権者の許可がなければなりません(民法823条1項)ので、まず職業についての親等の許可を得たうえで、さらに親等の同意の下で労働契約を締結することになります。もし親等の同意がなければ、その労働契約は、親等か未成年者本人が取り消すことができます。(民法5条2項)
<*3>意思能力があるとされるのは、7歳~10歳以上からとされるが、事案によって具体的には判断される。なお、児童福祉法では、1歳未満を乳児、1歳以上小学校入学前の未就学児(満6歳未満)を幼児と呼んでいる。
参考:労働法実務講義第3版・大内伸哉著、日本法令出版
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます