松山櫨(はぜ)復活奮闘日記

失われてしまった松山櫨の景観を復活させようと奮闘していく日々の記録。

筑前琵琶を和ろうそくの灯りで聞いた

2014-08-31 21:33:17 | 和ろうそくを灯す時
30日(土)に、ギャラリー「水の音 土の音」(朝倉市上秋月)で開催された筑前琵琶のコンサートに行ってきました。

演奏家の高木青鳳さんの横に燭台が据え付けてありました。
私は和ろうそくの数寄屋15号というちょっと大きめの和ろうそくを持っていき、あかりを灯すと、なんとなく芯切りのお世話係になりました。

筑前琵琶といえば平家物語。平家物語といえば筑前琵琶。
…というほど筑前琵琶は知られていますが、恥ずかしながらあまり聞いたことはありません。

音楽が入ると歌詞がわかんなくなる私ですが、高木青鳳さんのよく通る声が部屋中に響き渡り、和ろうそくがそのたびに瞬きながら、次第に耳で聞くだけで平家物語の世界にずんずん入っていくのは不思議な感覚でした。



最後に忘れられなかったのが「耳なし芳一」。

私も今まで何人か音楽家のために和ろうそくの灯りをつけてきましたが、必ず楽譜横に小さなライトスタンドが必要でした。

自分から和ろうそくの灯りのみにした演奏家は初めてです。

部屋が暗くなった時、いくら和ろうそくの灯りが明るいからって、楽譜が見えるほどの明るさじゃありません。大丈夫かなと一瞬心配になりましたが、私の杞憂でした。

灯りの揺らぎによって、演奏する高木さんの影が動き、地の底から這うような声が響いてきました。

「芳いち~~、芳いち~~。」

ぞっとするような怨霊の声と、激しい琵琶の音に合わせて、ゆらゆらと揺らぎ瞬く和ろうそくの灯り。
恐ろしいほど会場は芳一の世界に入り込んでいました。

素晴らしい時間でした。

ただ、唯一、惜しかったものといえば、ワタシです。
曲のあいまに前に進んで芯切りしてましたが、こういう時は黒子の衣装でもつけたかったです。(持ってないけど)