松山櫨(はぜ)復活奮闘日記

失われてしまった松山櫨の景観を復活させようと奮闘していく日々の記録。

櫨染和紙による写経

2011-07-11 07:21:47 | 櫨染(はじぞめ)プロジェクト
昨日と今日、櫨染和紙による写経を櫨屋敷にて開催中です。

写経といえば、普通は定期的にお寺で行われていますが、一般の古民家で櫨染和紙による写経を行うというのは日本全国広しといえども、ここ櫨屋敷だけでしょう。

正直言って、写経セットとかは百円ショップに売られているし、写経自体は好きな時間にどんな紙でもいいから書くことで取り組めることなんですが、わざわざこのイベントを櫨屋敷で開催した意味を書いておきたいと思います。

例えば料理などにも言えることですが、素材を厳選し、丁寧に調理をした料理は、やはり良い器に入れることで一層味が美味しくなるもんです。もちろん場所も大切だからこそ、レストランや料亭が存在するのです。

演出は真実を際だたせる効果があります。

櫨染和紙による写経イベントの場合、写経をするための紙にこだわりました。

櫨染はもともと正倉院文書の経典出納記録に記載されていました。すなわち写経用の色紙として使われていたのです。櫨染の色は太陽の色であり、富や理想の象徴の色でもあります。

写経をする紙に、わざわざこの色をつけたのは、自分たちの豊かな理想への祈りが込められたためではないかと、勝手ながら私は思っています。

当委員会では、櫨染和紙にするために、細かくチップにした櫨の芯材を、煮立てて色を出した後に、八女の手漉き和紙に一枚ずつ刷毛で塗っていきました。

大量生産の時代にわざわざ手間ひまかけて仕上げた櫨染和紙は、優しく微妙な風合いになりました。

今回は浄土真宗のお経・三誓偈の経文を写経しましたが、親鸞という方の生まれた鎌倉時代は、うち続く天災に苦しむ社会不安があり、腐敗や堕落、退廃にまみれた政治や宗教が蔓延した時代でした。

私たちは、昔と違って技術が進んで便利な生活を送っていますが、先日の東日本大震災、それに対応する政治やマスコミなど一連の出来事を見ていると、人間の心は、鎌倉時代とあまり変わっていないのではないかと思えてなりません。

人間の心は見つからない答えを求めて彷徨っていると言われています。

今回、この手間ひまかけた櫨染和紙に一文字ずつ書くことは、不安の中で彷徨いつつ、それでも生きていかねばならない自分たちを、少しでも勇気づけてくれるのではないかと、そう思ったわけです。

もちろん写経をしている時間、櫨屋敷では櫨キャンドルも灯しています。写経をしながら、ふと疲れた時に温かい炎を見つめて目が癒されるように。

昨日、写経をされた方が、いずれも充実した時間を過ごすことができたと満足そうな面持ちだったので、私自身も勇気づけられて温かい気持ちになりました。

「櫨染和紙による写経」は、全くの初めてのイベントでしたが、やってよかったと思います。

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