25時間目  日々を哲学する

著者 本木周一 小説、詩、音楽 映画、ドラマ、経済、日々を哲学する

3歳の子供の死

2015年09月04日 | 社会・経済・政治
シリアからの難民で、3歳の子供がトルコの沿岸でうつ伏せになって死んでいるニュース映像が紹介された。衝撃的とヨーロッパ各地にこのニュースが伝わったようだ。難民の40%を受け入れているドイツは、難民から信用されて、ハンガリーを経由してドイツに向かう。
フランスがようやく枠を拡げる宣言をした。EUでは来週にも対策会議を開くという。
シリア、イラク、ヨルダン、レバノンはイギリスとフランス、ロシアが秘密協定で、定規で引くように国境線を決めた。シリアはレバノンもヨルダンもシリアのものだと思っている。イラクはイスラムシーア派の国とサウジアラビアなどのスンニ派の国々との緩衝地域となっていた。それをアメリカが壊してしまった。
イギリスは島国で難民がくるおそれもない。

全く植民地時代の傷はこんな形で、民族大移動をさせるものだということを僕らは知った。民族国家、国民国家、宗教国家、そこに過激派が入り込み、混沌としている。

3歳の子供の母も5歳の兄も波にのまれて死んだ。父親だけが残った。父親は誰にいかるのだろう。サダド? シリア反政府組織? アメリカ、イギリス、フランス、ロシア?

アメリカのブッシュによるイラク攻撃は全く間違っていた。世界の勢力バランスを崩してしまった。テロで3000人犠牲になろうとも、イラク侵攻をするべきではなかった。アメリカ国内で二度とテロを起こさせない防御に徹することで、国民を説得するべきだった。
一対一に復讐と国家対テロ組織は次元が違う。
アフリカから、シリア、イラクからの難民がいつか故郷に帰れる支援をするのが、イギリス、フランス、ロシア、アメリカ、イラク戦争を支持した国々の倫理だと思う。

「朝まで生テレビ」でイラク戦争を支持していた論客は今何というのだろう。約半数が混沌することを断言していた。半分がアメリカ追従だった。
今は映像が残っている時代だから、そういう顔ぶれは調べればすぐにわかることだろうが、小泉元首相がすぐにブッシュ支援を鮮明に打ち出したのを覚えている。
アメリカの軍事的要請を拒否できるとは考えにくい。憲法だけが拒否できるのである。
夫婦喧嘩に口だすな、と言うが、アラブやアフリカに武力で口をだしてはいけない。支援のしかたは他にもある。例えば自衛隊を送る経費があるならば、それをそっくり、贈与すればよい。


アメリカンスナイパー

2015年09月04日 | 映画
クリントイーストウッド監督の「アメリカン スナイパー」という映画を見た。イラク戦争に志願し、ヒーローの一人になった男とその妻の話であるが、現代の戦争をリアルに再現しているように思えた。一軒一軒の家に入っていく戦闘員の恐怖。普通の市民の中に紛れ混む敵方。
日本を占領したときのようにはいかない。
この映画はアメリカの正義を賛美したものではない。名手のスナイパーはやがて心を病んでいき、軍隊を辞め、心を回復していく過程で、元軍の同僚に殺されてしまう。

アメリカ人兵士を日本の自衛隊にみたてると、よりリアルに集団的自衛権が浮かんでくる。この映画を見た自衛隊員の家族はどう思うだろうか。恐ろしくてしかたがないのではないか。自衛隊を辞める人も出てくるだろう。自衛隊は隊員募集に苦労するかもしれない。するとアメリカですでにおこなわれているように、飴を与えて勧誘する。貧困な家庭の若者を狙う。除隊したら大学にも行かせる、就職も斡旋する、という風に。

世界一位の経済大国はシェールガスを得た。懸案のイランとも和解の方向に進んでいる。キューバとも和解した。今アメリカは世界の勢力バランスを外交的に進めようとしている。ブッシュ時代の反省があったからなのだろう。
シェールガスは中国にもドカンとある。いずれ掘削技術を獲得することだろう。
昔、ソビエトが世界同時革命を唱え、思想を輸出して、冷戦となった。中国には輸出する思想がない。宗教もない。経済力だけである。アキレス腱は一党独裁である。
中国は日本と戦争などする気はない。もしもそんなことをしたら自国内に反乱が起こるのは目に見えている。アメリカも戦争に加担する気はない。メリットがない。日本の愛国主義者が騒いでいるだけの話だ。