エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

赤、黄、白の饗宴

2012年01月20日 | ポエム
そとは雨から雪へと変わっている。
小雪であるけれど、このまま降り続くのだろうか。

さて今日は天気とは別であるけれど、三色の饗宴で楽しい夢を見たいのである。

赤は侘助。
黄は蝋梅。
白は水仙。

いま巷では、その三色の饗宴に出会える。
今日は夫々の花に、一句添えつつ花を楽しんで頂きたいのである。



侘助である。
茶道を完成させた利休と同時期の人「侘助」が好んだ花であることから、この名がついたとされる。

侘助は、花が完全に開かない。
花の先端がひらけばそれが満開なのである。



「控えめ」「静かなおもむき」「簡素」が、その花言葉である。




      侘助や茶を一服所望せり         野 人
      侘助や花開かずも散る美学





次は、蠟梅である。
花弁が半透明で蝋細工のような花びらから付いた名である。
英名はウインター・スゥイート…その名の通り甘い香りである。



花言葉は「先導」「先見」「慈愛」 「優しい心」とある。
なるほど、ろうばいの匂いには癒し効果があると思われるのである。




      
      八重に咲き四方に魅せたり蝋梅花     野 人
      蝋梅や花一重なり花芯濃く





次いで水仙である。
いわゆる鉄砲水仙はまだ咲いていないけれど、植え込みの陰で楚々と咲いている水仙がある。



水仙はギリシャ神話にその始めがある。

「ギリシャの青年ナルキッソスは、美しい容姿から乙女達の心をとりこにした。しかし彼は決して自分から人を愛さなかったのである。ニンフ・エコーが働けなくなるほど彼を愛しましたが、相変わらず冷たい態度であった。これを見て怒った復讐の女神ネメシスは「人を愛せない者は自分自身を愛するがいい」と呪いをかけたのである。ナルキッソスは水面に映った自分自身に恋をし、食事も出来ずに痩せ細り、白いスイセンになった」という話である。





      水仙や視線の先に何気なく         野 人
      水仙は蕊朱々と恥じらいぬ





花言葉は「うぬぼれ」「自己愛」「エゴイズム」である。
(日本水仙)は「自己愛」。
(白水仙)は「神秘」「尊重」。
(黄水仙)は「私のもとへ帰って」「愛に応えて」である。

なんという健気な花言葉であろうか。

ぼくの大好きな「和菓子」。
濾し餡の、その甘味に通じる。

濾し餡は舌に残らず、甘味だけが鮮烈に残って余韻を奏でるのである。

水仙の余韻に似ているではないか。




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 荒野人