エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

落とし文

2016年07月09日 | ポエム
オトシブミ、である。
歴としたオトシブミ科の昆虫、である。

しかしながら、誠に奥床しいネーミングではないか。



これが昆虫のオトシブミ、の姿だ。
ぼくは、昼前から広葉樹の林を歩いてオトシブミを探した。

けれど、見つからなかった。
残念!
である。







「落とし文一つひとつの命かな」







命を育む。
その態様、である。

実に上手く、葵はを自分の身体に巻いてゆく。
巻き終わった葉は、地上に落下する。
旬日を経ずして、その葉は枯れてゆく。

その枯れた葉が、幼虫の栄養源になるのである。
不思議な生態だ。



けれども、その姿を探し求める俳人も不思議である。
何が落ちている訳でもないのに、下を探して径なき径を歩いているのである。

怪しいかもしれない。
けれど、年に一度はこの目にしたいのである。



この道を辿りゆく。
オトシブミ、のことである。



     荒 野人