エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

納めの句会

2017年12月23日 | ポエム
22日に繪硝子の12月句会が終わった。
ぼくは「ふうの木句会」に席を置いている。
句会の責任者は俳誌の編集長、それに副編集長である。

句の指導は、繪硝子俳句会の主宰「和田順子」先生である。

出句は、各自6句。
勿論、主宰も6句を出される。
編集長、副編集長のお二人も6句を投句される。
それぞれ同人としての句会もあり、一月に詠まれる句は多い。



主宰は、太陽のように優しくご指導をして下さる。
文法上の文言、或いは旧仮名使い、或いは措辞の工夫、或いは季語の選択。
的確に添削を頂けるのである。

句座への出席ということは、誰もが句を出す。
句座に上下関係は、基本的には無い。
結社によっては、指導者が句を出さない場合が多い。
けれども、繪硝子は平等に出句して選を受ける。

楽しい句会である。
12月は納めの句会。
主宰は、通常特選句は1句。
納めの句会でもあり、この日は3句を選ばれた・
天・地・人、である。

幸い、ぼくはこの3句の一つに選ばれた。
主宰から、ご褒美の短冊を頂いた。





上げ潮の鴨の胸打つ柳橋   順子



今日は、麗らかであった。
ぼくは、昨日の句会の句を反芻しながらまったりとしたものであった。


「見霽かす限りうらうら日向ぼこ」





短冊の句は、ぼくが同人として承認された会場の裏手の運河を詠まれた句である。
優しい字を書かれる。
指導そのものを表しておられる、そんな書である。

とまれ、繪硝子に入会して始めて主宰の短冊を頂いた。


       荒 野人

山茶花の

2017年12月18日 | ポエム
山茶花・・・。
誠に冬らしい景色を演出するのが、山茶花である。



この満開の後、寒椿が咲き始める。
雪ばんばが舞い、風花が舞い、東京に初雪が降る頃が咲き初めである。
寒椿を早く詠いたいものである。







「山茶花の満開の街ボレロ聴く」







山茶花の純情は、とりわけ白山茶花が体現する。
純白の山茶花は、痛ましいほど孤高でもある。



ぼくは、白山茶花と出会うと、若かった二人を思い出す。
汚れてしまったぼくである。



汚れちまった悲しみを歌った詩人もいる。
けれども、汚れちまった悲しみは美しさでもある。



美しく老ゆることの難しさを痛感するこの頃、である。


      荒 野人

冬夕焼

2017年12月17日 | ポエム
冬夕焼は、あっという間に雲散霧消する。
消えてしまう。
錆び付いて寒さだけが身にしみるのである。

冬夕焼は、だからと云っては下手な理由づけだけれど寂しい。



街の空は狭い。
電線と建家と、人いきれで濁っている。

空を返せ、と云いたいのである。



刹那を愉しむ冬夕焼は、とても大切な時間である。







「街の空電線だらけの冬夕焼」







けれど、冬夕焼は短いけれど美しく儚い。
何も考えず、ひたすら夕焼を眺める。



公園では空は広い。
だがしかし、あまりにも寂しい。

その寂しさに、錆と寂を同意語とする。
それこそが、冬の刹那である。


      荒 野人

満天星紅葉

2017年12月16日 | ポエム
実は、もう大分季節遅れの季語になってしまった
晩秋の季語である。



だがしかし、まだこの紅葉は踏ん張っている。
かなり枝だけになっているけれど、まだ赤赤と枝を飾っている満天星もあるのだ。



初冬の季語としても通用する植込である。
満天星の白白とした花は大好き、である。

コケティシュと云っても良かろう。
あたかも、スズランのようでもあるし・・・。
何より、その白さが際立つのである。







「満天星紅葉生垣の中に落ち込む」







今では、望遠で撮るか・・・マクロで撮るか。
その両方で、独特の美学を演出してくれるのだ。



満天星の紅葉に散る場所は、生垣でしか無い。
ぼくは、そう頑に思い込んでいる。


       荒 野人

シダーローズ

2017年12月15日 | ポエム
シダーローズは、ヒマラヤ杉の松かさの事である。
「新松子(しんちじり)」は晩秋の季語である。
けれど、シダーローズは今を盛りと落ち続けている。



樹上にある時の姿である。
誠に大きな松ぽっくりである。







「冬始めシダーローズの落ち始む」







ぼくは、このところ毎日拾い集めている。
数寄者は、これでクリスマス・リースなどを作る。

道に駅で、蔦の枯れたものや松ぽっくり、それにシダーローズをセットにして売っているのを見かけた事がある。
シダーローズは、まるで薔薇の花のようである。



見栄えがする。
それに、まだ知らない人も多い。



日陰で干して上げる。
徐々に、花開くのである。
そのため、裏側に木工用ボンドを塗ってあげるのである。
花びらが落ちないようにする工夫、である。

ぼくは、句会の友に毎年分かち合っている。
詩心が刺戟される松ぽっくり、である。


      荒 野人