”もう献立に困らない” その3ー素材にこだわる
21.料理は素材に尽きる
どんなに有名料亭、有名レストランでも、供する料理のもとは魚・肉・野菜から
つくられている。穀物や海藻なども使うが、基本の食材はその3品だ。
人がつくれるものなら、自分でつくれぬはずはない。美味い不味いを別にすれば
つくることは可能だ。専門の調理師は言う、料理は素材8割、他人の手2割と。
まして、腕が未熟な身においておや。
22.だから素材にこだわる
料理は素材が8割というのだから、素材の良いものを使えば料理も美味しい。
美味しければ食べ残さないから経済的である。だから、特売品・お買い得品は買わない。
特売品にはワケがあり、お買い得品にはワケがあると思っているから。必要以上にまとめ
買いをしたり、鮮度が悪いものを買えば無駄が出る。2割無駄にすれば2割安く買っても
何もならない。意外とこの罠にはまってしまう愚はよく聞く話であるのに。
23.素材は旬に尽きる
真っ赤に熟れた露地栽培のトマトは美味い! キュウリもナスも夏野菜が美味い!
葉物は秋・冬が美味い! 葉物がない時期は根菜を食べる。 農家の直売を買うと
このことが自然にわかる。ハウス栽培の方が好きと言われればそれはそれ。
魚にも旬がある。だいたいは産卵期と関係している。産卵に備えて体力をつけたときが
美味しいとされている。秋刀魚は秋と誰もが知っているが、夏の終わりのハシリの頃は
脂の乗りが少ない。北の海から南下しながら脂が乗ってきて美味しい。紀州沖まで行き
着くころは脂が落ちる代わりに干物や鮨にして美味しい。だから旬はいつと決まったも
のではない。タラは冬のものと思われているが、珍重されるのは白子であって、身を食
べるなら断然夏の方が美味い! このことは余り知られていない。美味しいときが旬と
思えばよい。
24.肉の旬はいつ?
畜産家に訊けばわかるかも知れないが、肉の旬がいつか問う人もいない。精肉店には
いつも均質のものが、きれいに切りそろえられて売られているから。旬よりも産地や
品種・銘柄にこだわりがある。旬はもしかしたら生育年齢に関係しているかも知れない。
熟成肉の話も聞くが、”肉文化”の浅いわが国は本当の食べ方を知らないのかも知れない。
25.生産者に近いところから買う
スーパー・小売店より卸、卸よりも生産地・生産者から買う方が、鮮度がよく品質の良い
ものが手に入ると考える。安いこともある。都会生活ではなかなかままならなおが、出来
ればの話である。いちばんのメリットは確かな品質情報が得られることである。
旅行のついでに産地の食材ハンティングをするとよく分かる。野菜も魚もである。畜産者
はなかなか訪ねにくい。
野菜は近郊農家の直売を利用している。探せば近郊農家の直売はよくある。魚は中央卸売市場
に買いに行く。最近は一般消費者の買い出し姿をよく見かけるようになったが、まだ少ない。
東京なら築地、全国各地に中央卸売市場があるが、なかなか行きづらい。
26.決まったところから買うメリット
こと馴染みになるメリットは大きい。野菜でも魚でも肉でも、その品質の良し悪し、特長、
見分け方、食べ方などである。なるほどそうかと思うことがたびたびある。彼らは専門家
なのだから。馴染みになるには、ここと決めたら熱心に通うことである。信頼関係をつくる
ことである。特売情報であちこち買い物に走るのも手だろうが、決まったところから買う
メリットは大きい。長年の”主夫”経験からの話。
27.良い銘柄を探す・それに決める
調味料・加工食材(例えば納豆・豆腐・乾麺など)は、なるべく添加物の少ないもの。時には
その生産者を訪ねて、信頼のおけるものを決める。使ってみて、食べてみて、それに決める。
信頼は安全につながり、安心は美味しさ・健康につながる。
28.素材の目利きの話
魚は特に難しいと実感している。一見新鮮そうに見えても前の日の残り物であったりする。
「これは前日のものです」と言ってくれる店は少ない。しかし、必ず言ってくれる店もある。
そういう店は信頼に値する。魚市場には長年通っているが、それでもなかなか魚は分からない。
何故か? 魚は鮮度ばかりではなく、魚の個体差(マグロはその典型)があり、産地による違い、
漁獲方法による違いなどがあるからである。市場の仲卸は、いつ・どこで・どのように獲った
魚かの”情報”を持っている。その情報に基づいて取引するのだから。
29.魚の目利きより、魚屋を目利きする
理由はいま言った通りである。信頼できる店を熱心に・根気よく探すほうが賢い。
しかし、そればかりに頼ると、目利きの自力もつかない、落ちてくる。だから、たまには違う
店で買って、時には失敗の経験もしないとダメになる。カーナビに頼ると道を覚えないことと
似ている。
30.そして素材をさばく
野菜でも魚でも、自分の手でさばいたり・おろしたり・刻んだりすることが、”素材”を知る
ことであり、料理・調理の始めだと思う。
(その4に続く)
21.料理は素材に尽きる
どんなに有名料亭、有名レストランでも、供する料理のもとは魚・肉・野菜から
つくられている。穀物や海藻なども使うが、基本の食材はその3品だ。
人がつくれるものなら、自分でつくれぬはずはない。美味い不味いを別にすれば
つくることは可能だ。専門の調理師は言う、料理は素材8割、他人の手2割と。
まして、腕が未熟な身においておや。
22.だから素材にこだわる
料理は素材が8割というのだから、素材の良いものを使えば料理も美味しい。
美味しければ食べ残さないから経済的である。だから、特売品・お買い得品は買わない。
特売品にはワケがあり、お買い得品にはワケがあると思っているから。必要以上にまとめ
買いをしたり、鮮度が悪いものを買えば無駄が出る。2割無駄にすれば2割安く買っても
何もならない。意外とこの罠にはまってしまう愚はよく聞く話であるのに。
23.素材は旬に尽きる
真っ赤に熟れた露地栽培のトマトは美味い! キュウリもナスも夏野菜が美味い!
葉物は秋・冬が美味い! 葉物がない時期は根菜を食べる。 農家の直売を買うと
このことが自然にわかる。ハウス栽培の方が好きと言われればそれはそれ。
魚にも旬がある。だいたいは産卵期と関係している。産卵に備えて体力をつけたときが
美味しいとされている。秋刀魚は秋と誰もが知っているが、夏の終わりのハシリの頃は
脂の乗りが少ない。北の海から南下しながら脂が乗ってきて美味しい。紀州沖まで行き
着くころは脂が落ちる代わりに干物や鮨にして美味しい。だから旬はいつと決まったも
のではない。タラは冬のものと思われているが、珍重されるのは白子であって、身を食
べるなら断然夏の方が美味い! このことは余り知られていない。美味しいときが旬と
思えばよい。
24.肉の旬はいつ?
畜産家に訊けばわかるかも知れないが、肉の旬がいつか問う人もいない。精肉店には
いつも均質のものが、きれいに切りそろえられて売られているから。旬よりも産地や
品種・銘柄にこだわりがある。旬はもしかしたら生育年齢に関係しているかも知れない。
熟成肉の話も聞くが、”肉文化”の浅いわが国は本当の食べ方を知らないのかも知れない。
25.生産者に近いところから買う
スーパー・小売店より卸、卸よりも生産地・生産者から買う方が、鮮度がよく品質の良い
ものが手に入ると考える。安いこともある。都会生活ではなかなかままならなおが、出来
ればの話である。いちばんのメリットは確かな品質情報が得られることである。
旅行のついでに産地の食材ハンティングをするとよく分かる。野菜も魚もである。畜産者
はなかなか訪ねにくい。
野菜は近郊農家の直売を利用している。探せば近郊農家の直売はよくある。魚は中央卸売市場
に買いに行く。最近は一般消費者の買い出し姿をよく見かけるようになったが、まだ少ない。
東京なら築地、全国各地に中央卸売市場があるが、なかなか行きづらい。
26.決まったところから買うメリット
こと馴染みになるメリットは大きい。野菜でも魚でも肉でも、その品質の良し悪し、特長、
見分け方、食べ方などである。なるほどそうかと思うことがたびたびある。彼らは専門家
なのだから。馴染みになるには、ここと決めたら熱心に通うことである。信頼関係をつくる
ことである。特売情報であちこち買い物に走るのも手だろうが、決まったところから買う
メリットは大きい。長年の”主夫”経験からの話。
27.良い銘柄を探す・それに決める
調味料・加工食材(例えば納豆・豆腐・乾麺など)は、なるべく添加物の少ないもの。時には
その生産者を訪ねて、信頼のおけるものを決める。使ってみて、食べてみて、それに決める。
信頼は安全につながり、安心は美味しさ・健康につながる。
28.素材の目利きの話
魚は特に難しいと実感している。一見新鮮そうに見えても前の日の残り物であったりする。
「これは前日のものです」と言ってくれる店は少ない。しかし、必ず言ってくれる店もある。
そういう店は信頼に値する。魚市場には長年通っているが、それでもなかなか魚は分からない。
何故か? 魚は鮮度ばかりではなく、魚の個体差(マグロはその典型)があり、産地による違い、
漁獲方法による違いなどがあるからである。市場の仲卸は、いつ・どこで・どのように獲った
魚かの”情報”を持っている。その情報に基づいて取引するのだから。
29.魚の目利きより、魚屋を目利きする
理由はいま言った通りである。信頼できる店を熱心に・根気よく探すほうが賢い。
しかし、そればかりに頼ると、目利きの自力もつかない、落ちてくる。だから、たまには違う
店で買って、時には失敗の経験もしないとダメになる。カーナビに頼ると道を覚えないことと
似ている。
30.そして素材をさばく
野菜でも魚でも、自分の手でさばいたり・おろしたり・刻んだりすることが、”素材”を知る
ことであり、料理・調理の始めだと思う。
(その4に続く)