クルマで走ることが出来る日本国内でただ一つの砂浜が消えていく。
これは、必然だ。
かつて手取川が氾濫するたびに、白山山系から大量の土砂が流出し、日本海の海流によって、その河口から遠くへ離れるにつれて次第に粒子が細かくなり、ちょうど千里浜あたりで適度な粒子の砂粒が堆積し、その結果、砂浜をクルマで走れるという非常に珍しく、かつ壮大な自然の現象が成立していたのだ。
今では、その手取川は全く姿を変え、一番上流では巨大なダムが飲料水確保のために鎮座し、それ以外の場所も、砂防工事によって土砂の流出は抑えられている。この微妙な自然のバランスを、全く原型をとどめない状態にまで変えておいて、今更千里浜の砂浜を守ろうなどと、のんきな事を言っても、それは無理だ。
もう「千里浜がクルマで走れる」などと言うのは、これから先、伝説となるしかないだろう。
さあ、日本全国の皆さん、今が見納めですから、千里浜に急ぎましょう。