最近の車のCMには80年代の洋楽がよく使われている。最近見た車のCMにはスパンダーバレエの名曲「TRUE」をカバーしたものが使われていた。このCMは女性ボーカルだったけど、この曲はやっぱりスパンダーバレエに歌ってほしいな。
あの米米クラブのカールスモーキー石井こと石井竜也氏も実はかなりこのスパンダーバレエに影響を受けているらしい。
スパンダーバレエはイギリスのバンドで、当時のロンドンのクラブ系の音楽だ。クラブ系といっても今の黒人色の強いアメリカ系のクラブサウンドではなくて、もっとソフトでロマンチックな雰囲気のダンスミュージックだ。そう、まさに米米クラブがやってたような・・・。ヴィジュアル系という日本でも一時もてはやされたムーヴメントがあったけど、その美しく化粧をするというのにおいては元祖的な時代で、カルチャークラブとかデュラン・デュランやジャパンとかの全盛期だった時代。ニューロマンティックスなんていうジャンルがもうけられ、その中にスパンダーバレエも入れられていたわけだ。
でも、それから何年たってもいつもどこかから必ず流れて来る「TRUE」を生み出したこのバンドはそんな小さな枠にはめられるバンドではなかったように思える。でも、今はどうしているのかな~?
昔、たまたまイタリアのベニスの運河を小さなゴンドラに乗って進んでいた時、どこからかこの曲が流れてきた。その印象がすごく強く、いまだにこの曲を聴くとその時の細い運河の周りに囲むように立っていたレンガ作りのイタリア建築の建物や静かにゴンドラが進む水の音なんかを思い出す。
改めて久しぶりにじっくりと聴いてみた。
おそらく、ハードロックやヘヴィメタルをやっている人も今の日本の音楽シーンを動かしている人もどこかでこの曲を聴いていると思う。それほど心地よい曲なんだ。
「この上のない真実 おかしなものだね。一緒にいても心を合わせて夢が見られずに 向いあったまま 真っ逆さまに落ちていく これは僕の魂が奏でる音だ・・・・
絶えまなく僕の手からすべり落ちていく 砂は砂そのものの時間 ・・・・」(「TRUE」日本語訳より)
この歌詞の中に「Listening to Marvin all night long」というフレーズがある。彼らの曲はすべてギターのゲイリー・ケンプが作っているんだけど、きっと彼はマーヴィン・ゲイが好きだったんだな~って今になって思う。その時はあまり歌詞なんてしっかり見て無くて、ただサウンドと「トゥルー~」という言葉に酔いしれていたから・・・子どもだったしね。
実は洋楽好きにありがちなんだけど、昔の私は歌詞はメロディの次って感じで、メロディを重視しがちだった。ゆえに曲を知っている単語だけでイメージを膨らませ、自分の都合のいいように解釈していた。もちろん、日本語訳なんかも読む時もあって、すごいな~って思うのも多々あった。でも、歌詞がすばらしくてもメロディが心に響かなかったら、好きにはなれなかった。日本の歌でも最近でこそ、詩もメロディも両方すばらしいバンドやアーティストが出てきて、逆に以前よりよく聴くようになったけど、昔はひどいものが多かったから聴く気になれなかった。だから、洋楽にいってしまったんだろうね。
SIAM SHADEが大好きではあったけど、つきつめてさかのぼって、日本のロックの私が持つイメージを変えてくれたのは実はMr.Childrenの「CROSS ROAD」だったんだ。あれを初めて聴いた時はすごく衝撃を受けた。洋楽とも違うけど、ロックなんだ。今までの歌謡ロックとは違う。歌詞も詩としてのきらめきをもっていて、心に光を射し込んで来た。
この「CROSS ROAD」の歌詞の中に「口ずさむ『ticket to ride 』・・・」というフレーズがある。
スパンダーバレエのマーヴィン・ゲイではないけど、「ああ、桜井さんはビートルズのこの曲が好きでよく聴いているんだ」って思うわけ。さりげなく、歌詞の中にでてくる曲名やアーティスト名・・・それだけそのアーティストや曲をリスペクトしているんだな~って、次世代のアーティストが過去の音楽を胸をはって引き継いで行く・・・そんな気がしてしまうのは私の思い込みだろうか?