寓居人の独言

身の回りのことや日々の出来事の感想そして楽しかった思い出話

癖のように出てくる言葉

2016年04月06日 23時54分40秒 | 日記・エッセイ・コラム

 一つの言葉が何回も繰り返し使われることがあり

ますね。例えば、最近国会討論を放送で聞く機会が

多くなりましたが、阿部首相の答弁や話の中で非常

にしばしば使われる言葉があるのを発見しました。

「・・・・、それはまさしく・・・・」 

 という言葉です。少し長い答弁になると2,3回

は使われます。よほどこの言葉を気に入っているの

でしょうね。私もずいぶん前に論文を書いていて、

howeverとかbutという単語を頻繁に使ったことがあ

ります。審査員にそのことを指摘されて、我ながらな

んでこんなに頻繁に反語を使用するのだろうかと反省

したことがあります。

 曖昧な意味で使われる言葉で「Aという条件の中に

Bが入ってくるのは違和感がありますね」などと使う

違和感という言葉をある会議で使ったことがあります。

すると次の会議では数人が違和感という言葉を使って

いるのを発見しました。それが違和感どころか全く適

合しない場合にも違和感と表現するのですね。よほど

ゴロが良かったのかもしれません。小説家や文章を書

くのが仕事の方は言葉使いを厳密に考えていることを

話されるのを聞いたことがありました。

 私が現役の頃学部の会議でⅠ氏(学部長)が、

「私に言わしむれば・・・」と発言しました。主席者の

数人が失笑しました。するとⅠ氏は失笑した人たちに、

「この問題は笑う性質のものではありません」

 とたしなめました。それで今度はさらに多くの方が

失笑してしまいました。

Ⅰ氏はきっとそのころ何かの小説を読んだんでしょうね。

その中に件の言葉が出てきたのだろうと思いました。

 何気なく使う言葉一つでも、その人の教養の程度が知

られてしまうことがあるのですね。気を付けなければい

けませんね。

 

 

 


記憶に残っている映画(26)「楢山節考」

2016年04月06日 17時28分15秒 | 寓居人の思い出話

 はっきりしたことは定かではありませんが、1958年か

その翌年にこの映画を見ました。映画を見終わって、私

はしばらくの間茫然としていたことが記憶に残っています。

周囲を見回すと同じようになっている人がたくさんいまし

た。それほどこの映画は人の心にそして社会に大きな衝撃

を与えたのでした。

 私は映画館を出たその足で書店へ行き、深沢七郎という

作家の原作本を買いました。その夜は寝ることを忘れて一

気に読了しました。そして再び衝撃を受けました。

 この映画の内容は、ある地方の藩のおきてというか過の

村の習慣で人はある年齢になったと、きにぎり飯3個と竹

筒に入れた水を待たせて山奥へ連れていきそこに放置して

くるというものです。つまり役に立たないと判断された老

人を酷い言葉ですが死に追いやる間引きするということで

す。

 山へ連れていかれる老人は自分の身につけた知識や技術

をすべて子供たちに教え残してていく。こうして文化を伝

えていくのですね。

 家族の絆、親子の愛情と信頼、そして自分の意志ではど

うにもならないことへの諦め、死にゆく者への家族の情な

どが丹念に描かれています。昔の映画はいい内容のものが

たくさんありますね。最近見る映画やドラマではほとんど

の場合人死にがあり、その死は犯罪がかかわっています。

社会を反映しているのか、社会が影響されているのかなん

ともいえません。

 映画は監督・脚本は木下恵介です。出演は田中絹代(おり

ん)、高橋貞二(辰平)、望月優子(玉やん)、宮口精二

(又やん)、伊藤雄之助、東野英治郎等々私の知っている

女優・俳優がたくさんいます。

 今考えてみると、楢山節考の掟のようなものが現代の社会

でも行われているように思いますね。高齢者を締め付けるよ

うな政策がそれを物語っていますね。