エメラルドの瑕疵

旧 『楽母の人見知り日記』です。 最近、ご朱印集めがマイブーム

ひとつむぎの手

2021-05-22 16:33:58 | 
知念実希人 著  新潮文庫  令和3年 5月1日

さすがに現役のドクターだけあって、手術の現場や病院の描写は見てきたように(笑)描いているのだろうと思う。
題材自体は目新しいものでもない。
大学病院医局の権力闘争が背景。
白い巨塔とか、振り向けば奴がいるとか。

ちょっとひっかかったのが、『ひとつむぎ』という言葉で、これは何ぞや??ってね(笑)
紡ぐだろうとは分かったけれど、後に『手』がついているからひとつなぎ・・・じゃない?と思うのは凡人だねーやっぱり(笑)

心臓外科医が冠動脈バイパス手術をする。それは単に血管を紡ぎ合わせているんじゃなくて、患者の人生ひいては『人』そのものを紡いでいるんだ・・・。
人紡ぎ。 なるほど、ここでようやく腑に落ちた。

ぐいぐい引き込まれるように読みながら、主人公である平良祐介というドクターの性格がじれったかった。
とても素晴らしいドクターなのに『自己評価』が低すぎる。

私も、おごり高ぶった傲慢な人物よりは、謙虚な人の方がずっと好きだけど、謙虚を通り越して自分なんかダメダメだ。と思い込んでいる人にはそれはそれでイライラさせられる。
知人にもいるのよね。 なんでそこまで卑下するの?というような人が。
わたし根性悪だから(笑) あんまりにも自己評価の低い人は最初はそんなことないよ、とか自信持ちなよと言っていても段々めんどくさくなる。

ああ、あなたはそういう自分が好きなのね、って思えてしまう。
さすがに小説内ではいつまでもそんなふうにばかりせずに、思いっきりイヤミな相手はぶん投げたりして胸がスカッとしたものだけど。

泣きますよ。 この本。 映画でも小説でも涙を流すのは良いデトックスになるとか。
もろもろため込んでいるかたにはお勧めです。

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