朝日文庫 司馬遼太郎:著 「街道をゆく」シリーズ6
北海道から沖縄まで各地の街道をたずね歩くこのシリーズは、全43冊あるのですが、私が読んだのはこのNo.6(沖縄・先島)だけです。もし、全43冊が、この本と同じように多くの資料を読んだ上に書かれたものなら、たいへんな労力であったろうと思います。
著者が那覇空港のトイレに入ると、掃除のおばさんに話しかけている一人の青年の声が聞こえます。
「いやだねえ、おばさん。こんなことするの本土の人に決まってるよ。沖縄の人はしないよ。おばさん、ほんとうにいやだねえ。」
そう言いながら青年は、ハンドルを押して便器に残されたものを流し、便器の側についたものを紙で拭っています。掃除用具を持ったおばさんが相槌を打たずにだまって立っているのは、本土人と思われる著者がそばにいるので、悪いと思ったのではないか。青年は下を向いているので、著者の姿が見えていないのだろう。
(なるほど、これが沖縄人から見た本土人の象徴かもしれない)と思い、沖縄人の対人的な感受性の優しさというのは、歴史的にもアジアで定評のあるものなのである。というように史学の分野に入っていきます。
ただ、沖縄を被害者、ヤマトを加害者と決め付ける考え方にも著者は違和感を感じ、それは近代国家とは何かを問うことにもなる、とも書いています。
これは1974年に書かれたものですが、32年前も今も人は同じ問題が解けずにいるのですね。
著者が目指した、神秘の島“与那国島”
上の写真は、私が数年前に与那国に行った時に撮った“海中遺跡”です。これは、人工的なものなのか、それとも自然が創ったものか。
発見から20年経った今も、意見は真っ二つに分かれているそうです。あなたは、どう思いますか?
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