池澤夏樹・文 垂水健吾・写真 文春文庫
旧南西航空、現在の日本トランスオーシャンの機内誌「コーラルウェイ」は、私もとても好きで、この機内誌が読みたさに時間をずらして飛行機に乗ったこともあるくらいです。羽田⇔那覇間は、午後八時台に一日一便だけJTA便があります。その機内誌に連載されていた「神々の食」。
食べ物を作るということは、神様の仕事に近いのかもしれない。かつては、日本中の全ての土地で神々の食物が作られていたに違いない。それが、今沖縄に多く残っているのは、土地の神や先祖の神への思いが強かったからだろう、と著者は言っています。
食べ物が神から与えられる贈り物なら、食べ物に対する感謝の念も沸いてくる。食べ物を作る人が、神と人との橋渡し役なら、手を抜くことなど有り得ない。添加物を多くして見た目がよいだけの惣菜を作ったり、保存料を多量に入れて、冷蔵庫の中で何日たっても腐らない豆腐を作るなんて考えつかないでしょう。
沖縄の人が神に祈る「ゆがふ(世果報)」。
作物がたくさんとれて、人々が仲良く、子供がすくすくと育って、年寄りが長生きする。物質的な豊穣だけでなく、精神的な豊かさも願うのが「ゆがふ」です。
ここに載っている35種の食べ物は、どれも皆おいしそうです。それは、作る人の「誠意」があるから。そういう思いのこもった塩であり、きっぱんであり、ゴーヤーであるわけです。
「麩」だけで、こんな存在感のある写真てあるでしょうか。垂水健吾・撮影。
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