2輪車もインジェクターの時代へ

 ホンダが、オートバイ用エンジンのフュ-ル・インジェクション(電子式燃料噴射装置)化を発表した。差し当たり、2009年末までにタイで販売するすべての二輪車にフュ-ル・インジェクターを搭載。更に世界最大の中国、そしてブラジル向けの二輪車にも遠からずフュ-ル・インジェクターを全面採用と発表。

 エンジンのシリンダー内にガソリンを供給するガソリン気化器は、長い間キャブレターがその主役であったが、燃費向上や排気ガス浄化の為にはよりきめの細かい燃焼コントロールが可能な電子制御方式フュール・インジェクターが圧倒的に有利となる。電子式フュール・インジェクターが登場する前の一時期には機械式フュール・インジェクターも存在したが、マイクロコンピュータの出現とその低価格化により機械式は姿を消し、電子式インジェクターが一般化することになる。

 日本製の乗用車に電子式フュール・インジェクターが搭載されるのが一般化し始めたのは今から25年ほど前からだろうか。トヨタがEFI、日産がEGIそしてホンダがPGM-FIと名付けて次々に新エンジンを登場させたのだった。ただし当時はコストの問題もあり、同じ車種でも低価格車(=低グレード)はキャブレター仕様、高価格車(=高グレード)はインジェクター仕様だったりしたな。郷秋<Gauche>が1985年に購入したシビック・シャトルのグレード名は「55i」で、インジェクションの「i」の文字が高性能の証しでもあったりしたわけだ。

 乗用車のインジェクション化から四半世紀を経て、いよいよ低価格の2輪車にもフュール・インジェクターが導入されることになったわけだが、これにはBRICsを中心とする新興工業国のメーカーとの差別化という戦略が、実は隠されているんだな。つまりだ、今となってもフュール・インジェクター製造にはそれなりに高度な技術が要求されるし、それを低コストで供給できる国があるかと見渡せば、それは日本の独擅場なのである。

 勿論そこには石化燃料消費削減、環境保護と云う大義名分、錦の御旗がはためいてもいるわけだ。「ついて来られるものならついて来てみろ」という、ホンダの自信の現れでもあるかな?


 例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、全国広しと云えどもここしかないという茅葺屋根の駅、野岩鉄道会津鬼怒川線(正確ではないかもしれない)の湯野上温泉駅の内部。1~2時間に1本の列車を、自分で入れたお茶をすすりながらのんびりと待つ、そういう何ともゆるい駅である。
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