新涼を待ちわびる

 「新涼」は秋の季語。「涼新た」、「秋涼し」も同類の季語である。「新しい『涼』」とは摩訶不思議な言葉だとお感じになられるかも知れないが、これには訳がある。

 俳句の世界では「涼し」が夏の季語とされている。暑いさなかの一陣の風や風鈴の音に涼しさを感じ取るのが「粋」とされるのが俳句の世界。暑いさなかの「涼」、つまり「涼」を感じさせる暑さが去ってようやくやって来た新しい、本物の涼しさゆえの「新涼」なのである。


 今日の一枚はなるせの森で咲く「黄花コスモス」。コスモス(オオハルシャギク)と云えば、まさに新涼の頃から中秋にかけてが旬の花であるが、オレンジ色の「黄花コスモス」は夏の盛りから花をつける。同じコスモスと呼ばれても「黄花コスモス」はオオハルシャギクとは同属別種で交雑することはないのだと云う。「イエローガーデン」「キャンパスイエロー」と云った黄色いコスモスは黄花コスモスとオオハルシャギクを交配したものではなく、突然変異で花弁の先が僅かに黄色を味を帯びたオオハルシャギクを元に20年以上にわたって交配を繰り返して作出されたものと聞く。

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