現存5冊の「稀覯書」

 「『星の王子様』現存5冊の稀覯書」。今日の神奈川新聞の記事、「『知の遺産』-図書館コレクションから」のタイトルである。関東学院大学の図書館が所蔵するReynal & Hitchcock社が1946年に発行したペーパーバック版初版初刷りが世界で5冊のみ現存が確認されている「稀覯書」のうちの一冊であると云う記事で、関東学院大学図書館の小山伸弥生氏が書かれている。

 郷秋<Gauche>も『星の王子様』が好きで、数冊の違った版を持っている。そのうちの一冊は、岩波書店が2000年に発刊した、1943年にアメリカで出版され、サン=テグジュペリ自身が生前目にした唯一の版であるアメリカ版に基づいて作られたものだが、1050円出せば誰でも購入できる、ごく普通の本である。が、関東学院大学図書館が所蔵する『星の王子様』は、Reynal & Hitchcock社のペーパーバック版初版初刷りは世界でも現存しているのが5冊しか確認されていない希少本なのだと云う。

 さて、ここで郷秋<Gauche>が驚いたのは「稀覯書」と云う言葉である。恥ずかしながら、郷秋<Gauche>はこの言葉を今日の神奈川新聞で初めて知った。いやはや。Windowsに標準搭載の漢字辞書にもある、云ってみればごく普通の言葉のはずなのだが、浅学な郷秋<Gauche>は今日まで見たことも聞いたこともない言葉であった。類語としては「希少本」があり、これは結構な頻度でお目にかかるのだが、稀覯書(本)は、今日までまったくお目にかかったことがなかったのだ。

 Weblioによれば、「稀に出会う(覯)、きわめて貴重な本。資料的価値があり、部数が少ないほど、値段が高くなる。英語ではrare bookという。しかし、何部以内といった基準は無いので、書店などは直ぐに稀覯書、稀覯本としたがるので、成るべく厳しくすべきすべきとの意見もある。和書嘉永3年頃 (1850)、洋書では1500年以前に印刷されたものを稀覯本とみなすことが多い。」とあるから、1946年発行のReynal & Hitchcock社のペーパーバック版初版初刷りを稀覯書(本)とするのが正しいのかどうか、疑問が残るところだが、そもそもWeblioの定義が正しいのかどうかの判断のしようもないから、手に負えない。

 半世紀以上も生きて来てそれなりにいろいろな言葉を ―実際に使うかどうか、意味を真に正しく理解しているかはどうか別にしても― それなりに知っているつもりの郷秋<Gauche>ではあったけれど、それは「自分が知らないと云う事を知らなかっただけ」であることをあらためて思い知らされた、今日の神奈川新聞の記事であった。


 例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、先週土曜日に見つけた、この夏最初の空蝉。先々週にはそれほどでもなかった蝉の鳴き声が、先週の土曜日にはやけに大きくなっていた。今週末にはもっとたくさんの空蝉を見つけることが出来そうだ。

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