ニコンは無くなったのか? そして、ネット上の情報の真偽を考える

 まずは「岐路に立つ、コンパクトデジカメ」と題された、こちらの記事をご覧いただきたい。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130610-00000235-economic-sci
スマートフォンに搭載されたカメラとその画像を加工するアプリケーションの機能が飛躍的に向上し、安いだけのコンパクトタイプデジタルカメは淘汰される。低価格のコンパクトタイプから撤退し高級機にシフトするメーカー、コンパクトタイプも継続しつつデジタル一眼との差別化を図るメーカー等、各社の戦略はそれぞれであるとの論調は間違ってはいないが、各論に入ると支離滅裂である。

 オリンパスが低価格機から撤退と云うのは多分間違ってはいないだろう。ソニー、富士フイルム、ペンタックスリコーなどが高級志向へと云うのは、部分的には間違ってはいないがソニーと富士フイルムが、高級・高価格志向でありながら、フルラインナップ体制を維持していかなければならないであろう運命を背負っていると云う歴史的事実については書かれていない。またキヤノン、パナソニック 、カシオが動画対応を推し進めているのは事実かも知れないが、次の一文は明らかな事実誤認。

 
「コンパクトデジカメ市場でトップシェアを誇るキヤノンは、話題のミラーレス一眼でも高いシェアを得ていることから、商品の棲み分けという意味でもコンパクトデジカメを維持したい考えのようだ。」

 少なくとも2012年のミラーレス(デジタル一眼)市場におけるシェアは、オリンパス(29.8%)、パナソニック(23.6%)、ソニー(20.0%)、ニコン(14.3%)、ペンタックスリコー(9.4%)の順でキヤノンは6位でシェア2.1%である。2013年は、あるいはペンタックスリコーを追い越すかも知れないがニコンを上回ることはできないだろう。そして何よりも大きな問題は、「ニコン」の三文字がまったく登場しないこと。筆者は恣意的に、あるいは意図的に「ニコン」の三文字を書いていないのである。

 紙の上で、あるいはスクリーンの上で「活字」となっている情報を私たちはともすると何の疑いもない事実であると理解し、そしてそれが正しいと思い込んでしまう傾向を残念ながら持っている。しかしながら、まったくもって何の問題もない事実などと云う事は、実はほんの僅かしか存在していないのであり、意図したか否かに関係なく、事実とは違ったことが書かれそして公表されていることが少なくないと云う事実に私たちは気付く必要がある。

 ICT時代と云われる現代は、書かれたことが本当に正しいのかどうかを常に考えながら情報に接する、もっと云えば目の前の情報を鵜呑みにするのではなくまず疑ってみること、少なくとも信ずるに足る情報であるかどうか十分吟味することが求められる。目の前にある情報が正しいのかあるいは間違っているのかを瞬時に判断し、少なくとも事実とは違う可能性があると感じた情報については徹底的に調べ上げて真偽を明らかにすることの出来る能力が求められる、何だかとても厄介な時代なのである。


 例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、木下闇でひっそりと咲く紫陽花。

blog「恩田の森Now」に、昨日(6月10日)に撮影した写真を掲載いたしましたのでどうぞご覧下さい。
http://blog.goo.ne.jp/ondanomori/

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