唐松林の中に小屋を建て、晴れた日には畑を耕し雨の日にはセロを弾いて暮したい、そんな郷秋<Gauche>の気ままな独り言。
郷秋<Gauche>の独り言
檸檬
そんなにもあなたはレモンを待つてゐた
かなしく白くあかるい死の床で
わたしの手からとつた一つのレモンを
あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ
トパアズいろの香気が立つ
その数滴の天のものなるレモンの汁は
ぱつとあなたの意識を正常にした
あなたの青く澄んだ眼がかすかに笑ふ
わたしの手を握るあなたの力の健康さよ
あなたの咽喉のどに嵐はあるが
かういふ命の瀬戸ぎはに
智恵子はもとの智恵子となり
生涯の愛を一瞬にかたむけた
それからひと時
昔山巓でしたやうな深呼吸を一つして
あなたの機関はそれなり止まつた
写真の前に挿した桜の花かげに
すずしく光るレモンを今日も置かう
レモン哀歌:高村光太郎「レモン哀歌」(詩集『智恵子抄』より)
80年ほど前に書かれたこの詩のタイトルはカタカナで「レモン」と記された。80年後、自宅庭でなるレモンの写真に私は漢字で「檸檬」とタイトルを付した。今年、我が家の庭のレモンは例年になくたくさんの実を着けてくれた。
横浜の住宅地の中に残された小さな里山の四季の移ろいを毎週撮影しているblog「恩田の森Now」。ただいまは1月30日に撮影した写真を6点掲載いたしております。1月最後の森の様子をご覧いただければ嬉しいです。
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