才か、歳か

 一昨日のことになりますが、天下の朝日新聞紙面にこう書かれていたのが目に留まりました。

「今、女優のかとうかず子氏が61にも関わらず、最近、キレイになったと注目されている」

 かとうかず子氏がキレイでもキレイじゃなくても、郷秋<Gauche>には全く興味のないところなのですが、61もの才能を持つと女性だと聞けば、かとうかず子氏とは一体全体どんな方であるのかと俄然興味が湧いてきます。

 すでに答えを書いたようなものですが、「才」とは能力を意味する言葉。だから才能とか英才、天才と書くのです。一方の「歳」は時の経過、流れを意味する言葉です。生まれてから61年の時が流れたから、61歳なのです。

 「才」と「歳」とは全く違う意味の言葉なのですが読みは共に「さい」。才の字がたった三画であるのに対して歳の字は十三画もありますから書くのが大変です。ですので年齢を書くときに本来の文字である歳と書かずに、読みが同じで簡単な才の文字を借りて61才と書いたのでした。これが世間一般に許された訳ですね。手書きの時代には。

 でも今は活字の時代です。PCでもスマートフォンでも「さい」と打てば「才」でも「歳」でも自由自在に書ける、表示できる時代です。歳と書くのが面倒だからと才の字を借りてくる必要がないのです。なのに、いまだに「61才」と書かれたものを度々目にするから不思議です。先にも書いた通り、天下の朝日新聞でさえ「61才」です。

 朝日新聞の名誉のために書けば、「61才」と書かれていたのは朝日の記者が書いた記事ではなく、これを飲めば若見えする的な飲み物の広告でした。広告内容にまで新聞社が首を突っ込むことはないと云うことなのかも知れませんが、新聞には放送と共に正しい、あるいはあるべき日本語を守る使命が与えられているはずです。「『才』は才能の『さい』です。年齢を表す『さい』は『歳』です」くらいのことは云っても良かったのではなかったかと思う郷秋<Gauche>なのでありました。

 例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、羽田空港でずらりと並んだトリトンブルーのキコーキたち。トリトンブルーが大好きな郷秋<Gauche>であると云うのに、この時の搭乗機は何故かこの脇を通って第一ターミナルに向かったのでありました。

  blog「恩田の森Now」 http://blog.goo.ne.jp/ondanomori には、ただいまは6月13日に撮った写真を6点掲載いたしております。梅雨の晴れ間となった森の様子をどうぞご覧ください。
  
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