
船岡山の東尾根端には、織田信長を祭神とする建勲神社が鎮座します。幾度も参拝した馴染みの場所ですので、今回は石段下より一礼したのみで通り抜けて下に降りました。そのまま船岡東通に出て、南へ進みました。

船岡東通の南は鞍馬口通に接します。これを西に歩きました。このまま東へ行けば紫明通と交わり、さらに進んで烏丸通と交わりますが、その東側が上御霊社のエリアで、応仁の乱の発端となった御霊合戦の跡地です。また紫明通を南に行くと、山名宗全の邸宅のあった西陣の地です。学生時代以来、応仁の乱の史跡巡りを何度かやりましたので、この界隈の景色も記憶に鮮やかです。

少し歩くと、右手に上図の立派な古建築があります。京都でも知られた人気の喫茶店「さらさ西陣」です。今回の昼食をここでとる予定でした。

かつては銭湯だった建物を修復し、内装をなるべく生かしつつカフェとして営業しています。京都の古建築カフェの一つとして人気があり、ランチタイムには行列が出来るのが常ですので、今回は開店時間きっかりに入りました。

内部には、銭湯だった頃の仕切り壁やタイル装飾などがそのまま残され、独特の雰囲気を醸し出しています。既に店内は満席に近く、若い女性や有閑マダムたちの笑い声があちこちで上がっていました。

このお店は、1期第11話「ピンチ!」に登場します。上図のソファー席が、平沢唯、真鍋和、秋山澪らがついていた席です。

このシーンですね。白壁の鏡やタイル模様など、ほぼそのままです。右手に階段があり、段差がある点も実際の店内と同じです。

反対側の壁の掛け時計、これも見た事ありますね・・・。劇中ではこんな感じで斜めに出ていたんじゃなかったかな・・・。

このシーンですが、アングルが逆でした。横に掛けられていたメニューの黒板は、現在は違う位置に掛けられてありました。

奥のスペースの天井は、このように大きな吹き抜けになっています。銭湯だった頃の構造がそのまま生かされて明り取りの役目をはたしています。

この和製マジョリカタイルがいい感じですね。マジョリカタイルとは、明治期の終わり頃に乾式成形法によってつくられたタイルの一種です。サイズは一般的に15センチぐらい、金型を用いて立体的なレリーフを施し、筆で一色ずつ数種類の色釉を載せて作るものです。
とにかく手間がかかる手作りの装飾タイルですが、現代アートのモチーフとして割合に人気があるようです。京都造形芸大に通っていた時期、美術工芸学科の友人が、これを模したモザイクアートをやっていて、学園祭「瓜生山祭」で出品する作品が間に合わない、というので少し手伝ったことがあります。北野白梅町の彼の家に仲間と二人で行き、夕食まで御馳走になりつつ深夜までタイル作りに没頭し、そのまま泊めてもらったのでした。
その際にタイルの元ネタを聞いたら、西陣の「藤の森温泉」という銭湯のタイルだと教えられ、参考までに見せてやると言われて翌日に皆でそれを見に行ったら、銭湯は廃業していてカフェに転じていました。2001年の夏のことでした。
そのカフェが、今回の「さらさ西陣」でありますので、個人的にも思い出のあるお店です。

あの時、三人で上図の席に陣取って何かを食べたのですが、メニューは覚えていません。その席が「けいおん」劇中で、田井中律、琴吹紬、中野梓が隠れるようにしてついた位置になりました。
後でそれを知って、なんでこのアニメは、自分の知ってる場所ばかり出してくるんだろうなあ、と不思議に思い、半ば嬉しい気分になったものです。
現在は、机や本棚等の配置が変更されているため、劇中の状態とはかなり異なっています。

今回いただいたメニューです。サンドイッチのセット、ドリンク付きでした。このお店のランチメニューは週替わりで、事前にブログで案内がなされますが、いずれも好評ですぐに売り切れになるそうです。
「さらさ西陣」の公式サイトはこちら。メニュー案内の公式ブログはこちら。 (続く)