表通りの裏通り

~珈琲とロックと道楽の日々~
ブルース・スプリングスティーンとスティーブ・マックィーンと渥美清さんが人生の師匠です。

今さら『ジョーカー』

2019-11-20 10:55:47 | 映画
公開から既に一ヶ月。色々あってタイミングが合わず、昨日ようやく会いに行くことができました。今年一番と言っても過言ではない程話題になっているので、とことん言い尽くされている感があります。なので「何を今さら」とスルーして頂いても構いません。とりあえず未だにドキドキが止まらないので、日記的に書き残して(誰に向けて?)おきます。

他のアメコミ映画は一切観ない(イマイチ合わない)のに、クリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト』三部作がとにかく大好きで、その中でもやはり二作目の『ダークナイト』は、僕の映画人生でもトップ20に入る大好きな作品です。

今回敵役のジョーカーが単独で一本の映画になったのも、『ダークナイト』におけるヒース・レジャーの一世一代の名演技で作り上げられたジョーカーの存在があったからだと思います。

しかし今回の『ジョーカー』におけるトッド・フィリップス監督(『ハングオーバー』シリーズを作った人とは思えない)と、ホアキン・フェニックスが作り上げたジョーカー(になる過程のアーサー・フレック)は全く違うアプローチでした。

普通スピンオフ(流行の前日譚・後日譚も含む)の場合、観客のイメージを壊さないように(それがいつも成功するとは限らないけど)極力元ネタをなぞる方法を取りますよね。

しかも『ジョーカー』で挑んだのは、あの映画史上類稀な最強の悪役。そのイメージを一度バラバラにして、新しいジョーカー像を作った。まずはこの挑戦に敬意を表したいと思います。

とことん細かい人物描写に拘り、一人の寂しい青年がいかにして悪の権化になっていったかを、まるで70年代の映画のような色の抜けた感じの映像と、細かな音像と共に映し出していきます。
パンフに載っていた監督の言葉通り、まさにトーンは『タクシー・ドライバー』。アーサーの狂気に満ち溢れた行動も、『タクシー・ドライバー』のトラヴィスにそっくり。
そして重要な役どころ、人気コメディアン兼テレビ・ショウ司会者のマレーを演じたロバート・デ・ニーロは、まんま『キング・オブ・コメディ』の主人公の生き写しのようです。
他にも『狼たちの午後』の神経症的なジョン・カザール、『セルピコ』の堕ちていくアル・パチーノ、そしてもちろん『ダークナイト』で描かれた一昔前のゴッサム・シティの雰囲気を見事に再現(架空の街だから再現はおかしいかな?)等々、色々な過去の名作にオマージュを捧げつつ、全く新しいジャンルの映画になっています。


オープニングからおしまいまで一切「救い」というものがない、メジャー系作品としては稀有な存在。そして全編を支配する狂気。孤独。寂しさ。絶望感。
ここまで徹底してこれらを描かれると感服するしかありません。見事です。そんな映画僕は大好きです。
これがこの『ジョーカー』を観終えた直後の僕の感想です。でも絶対万人受けする作品じゃないよなぁ~というのも素直な感想です。
そんな不思議な人を惹きつける魅力に溢れた『ジョーカー』。続編にも期待できそうですね。

もう一つ、ふと思ったことがあります。

映画の終盤に、クリームの名曲「ホワイト・ルーム」が流れるシーンがあって一人嬉しくて口ずさんでいましたが、去年の大ヒット作『ボヘミアン・ラブソディ』でもクリームの「サンシャイン・オブ・ユア・ラブ」が流れるシーン(フレディが洋服を買いに行ってとき)がありました。
もしかしてクリームの楽曲を流すとその映画は当たるのかな?

んなワケないか(笑)


映画『ジョーカー』本予告【HD】2019年10月4日(金)公開