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バーボングラス片手のロックな毎日

びーとたけし 下世話の作法

2015-04-12 00:08:22 | BOOK/COMICS
ビートたけしの本を久々に読む。
以前は文庫本が出る度に買ってた。毎回毒舌な内容なんだが、「なるほどこういった見方もあるのか」と毎回発見。

今回読んだのは「下世話の作法」
現代社会をビートたけしの目で、今回も痛烈に書いてある。毎回「負けたな」(何にだ?)と思わされる。こんな視点は俺には無い。

特筆すべきはビートたけしの考える「粋」について。

この本を読んで「あぁ、今の社会がなんかギスギスしてるのは、粋な人が少なく無くなったからだ」って思った。
たけしの言う「粋」って理屈じゃないのね。カッコいいかとか、美学とか、品とかなの。
高倉健さんや渡哲也さん、自分の師匠の深見千三郎なんかを例に挙げて、たけし流の何が粋で何が下品かをわかりやすく書いてる。

最近下品な人が増えた。他人の事なんかおかまい無しの自分勝手な行動や言動。電車で席を譲るどころか降りる人をかき分けて乗り込む奴。
子供が泣いてても叱る訳でなくあやす訳でなく無関心で苛ついてる母。些細な事にすぐに切れるじじぃ。美魔女とか言って年齢不相応の格好やメイクをした勘違い中年女。地球に優しいエコカーに乗りながら道を譲ったり入れてあげたりしてくれない他人に厳しいドライバー・・・。
挙げてったらきりがない。
多分この人達は「他人からどう見えてるか」なんて思ってもいないんだろう。

政治家も品が無くなった。やたらと国会で喚いてる議員は粋じゃない。安物のスーツと品のない言葉。何より立ち振る舞いが野暮だ。
安倍総理や麻生副総理は品がいい。着てるスーツも仕立てで着こなしもいい。風格も恰幅もある。やはりこれが名門も出ってやつなのかな?

粋なんて言葉は死語に近くなってる。洒落者とか鯔背とか伊達って言葉も同様。
「ありのままのぉ自分」とか「自分らしく」なんて言葉が蔓延してる今じゃ、こんな事を言っても寝耳に水かもしれないが、昔は粋な人がいっぱいいいた。
スタッフ同士の宴会にちょこっとだけ顔を出して、先に帰られたのに既に全部の支払いを済ましてくれてた上司。
「実は今日誕生日なんですよ」って言ったスタッフに、夕方に花束を届けてくれたお客様。
いい仕事するならいい鞄を持たなくちゃって高級な鞄を買ってくれた人。
有り余る富を持っていてこちらを蔑んで恵んでくれた行為なら粋とは感じない。ありがた迷惑だ。こっちにもプライドがあるからお断りだ。
でも、さりげなく、嫌みもなく、できる範囲で洒落た事をされると「あぁ、こんな人にいつかなりたい」と思ってしまう。
カッコつけすぎとか批判する人もいるけど、批判する人がおかしいだろう。批判する人はやってみてから言ってくれ。どうせ出来ないだろうけど。

この「粋」って言葉の延長線上に、品とか伊達ってあるんだろうからね。
安物の量販店の服をまとい、ファストフードで飯を食い、SNSで人の批判ばかりしてる奴らにはわからない世界。
ブランド品を身にまとえばいいって言ってるんじゃない。それは下手すりゃ下品になるだけだ。
高級料理屋でご飯を食えばいいって言ってるんじゃない。作法が出来なければ余計恥をかく。
美魔女って言われる中年女が綺麗に見えないのは、「学」や「品」が無いからだ。いくらお金をかけてヒアルロン酸注入し、サプリメント飲もうが
作法一つ身に付いてなければ、ただの成金でしかない。

古来の武士の作法って凄く色々あって、ちょっとやそっとじゃ身に付かないらしい。
だから偽物の武士ってのは一目で暴かれたらしい。作法が変だぞって。だからかな、幕末の新撰組がやたらと規律にウルサかったのは。
赤穂浪士討ち入りの話も嫌いだ。吉良から作法を徹底的に教えられたのに浅野内匠頭は逆ギレ。しかも殿中で刃傷沙汰。どう考えても浅野が悪い。

「自分らしく」とか「ありのまま」とか言えるのは自然体で粋や品の身に付いた人だけじゃないのかな。
日本人はここらで「道徳」と「粋」に付いて考えた方がいい。