GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

転売が悪のように言われてるが

2018-04-10 23:05:04 | Talk is Cheap
転売が問題になっている。
コンンサートチケットやレアグッズの転売、先日も京都高島屋で限定販売されたスーパードルフィの転売が問題視されている。

でもさ、なんかしっくりこないのよね。
まるで転売=悪の行為みたいに報道されてるのがね、ちょっと腑に落ちないのよ。
転売とかすることは悪い行為なのか?
古物商の免許を持ってる身としてはなんか最近の転売批判が納得いかないのよね。

羽生結弦くんのTシャツが販売された。


これは仙台で行われる22日の祝賀パレードに向けて製作された応援Tシャツで、4月4日にネットなどで受け付けを開始して現在約3万7500枚の申し込みがあったそうだ。
早速こちらのTシャツはメルカリやヤフオクで出品されてる。Tシャツは定価2500円だが、1000円くらい上乗せされた金額で出品されてるね。

これに対し仙台の郡和子市長が10日の定例会見で、「売り上げは利益目的ではなくパレードの開催費になる。皆さんの協力をお願いしたい」と購入者に転売しないよう求めたって報道されてた。
これがまったく意味がわからんのよ。
転売するなっておかしくない?
だってこのTシャツだって一種の転売だろ?

Tシャツに羽生くんのシルエットをデザインしたものをプリントして売ってるのだよね。
白地の無地のTシャツの原価はいくらだ?2500円か?違うよな。多分500円~800円くらいなもんだろう。それに肖像権とかパブリシティのついた画像を入れてさらに価値をつけて売ってるのがこのTシャツだ。コンサート会場で売ってるTシャツでも、ブランドのTシャツでも、24時間テレビのTシャツでも一緒だ。
これだって転売ではないのか?それをさらに転売されたら怒るって変でしょ。

商売の基本は
安くで仕入れて高くで売る=利ざやを稼ぐ、だ。

ここに需要と供給のバランスが絡む。
突き詰めれば商売というのは物々交換だ。
米や果物や野菜を作る人、魚や動物を撮った人がそれぞれ物々交換する。この時に需要と供給によってそれぞれの価値が決まる。
数が少ないものは価値が高くなり、たくさんあるものは価値が安くなる。希少なものでも欲しい人がいなければ売れない(交換できない)し、大量生産されても欲しい人が多いものそれだけ売れる(交換したがる)。この価値を換算したものが今でいう価格ってやつだ。

物々交換を便利にしたのがお金で、ルーツは石や金属だ。珍しい石や金属を物々交換の対象にしてたものが価格の対象になった。
現在お金と呼ばれるものは元々そこらへんに転がってる石や金属で、金や銀や銅などはその後貨幣と形を変えてる。
これらを交換することの基準が今で言われる為替ってやつだ。

その昔鉄やアルミニウムが希少だったころは高額だったが今は安くなってる。金や銀みたいに人工的に作り出せないものは相変わらず高い。
米や小麦など農作物は天候が不順で不作なら価値が上がり=価格は高くなり、たくさん採れれば安くなる。
これが相場って言われるものだ。

この相場を崩さず安定させるために国家や組織が仕切ることがある。
戦後の日本では米1升が西陣織の着物1枚より高かった。少し前まで米や塩、タバコなんかを日本国政府が取り仕切ってたのはこの相場を安定させるため(専売公社と呼ばれてた)だ。
ダイヤモンドや金などはそれぞれ機構が管理して価値の変動を最小限に抑えてる。逆を言えばこの気候の胸先三寸で値段はどうとでも設定できる。
お金は政府が管理してる。日本銀行が発行してるただの紙切れが1000円とか10000円の価値を持つのはこのせいで、政府(国家)が不安定になればこの価値が崩れる。円相場とかドルの相場がこれだ。インフレとかデフレとかもこれだ。1億リラでバナナしか買えない国もある。

いろいろ書いたが、商売ってのはこうした相場や為替=転売で成り立っている。

価値や相場は常に変動する。希少であって欲しい人が多ければ高くなるし、数があったり人気のないものは安くなる。
バナナや卵は昔は高級品だった。松茸は高く椎茸は安い。東京の土地は高く地方の過疎地は安い。

今お寿司屋さんで人気のウニも、当時のソ連では10kgで1ルーブルだった。日本は海胆をありがたがるがロシアの漁民からすりゃ価値のないものだったから。
山陰で捕れるゲンゲという全身ヌメヌメとした深海魚。以前は漁港でも捨てられるお魚だったが、今ではその美味が評価されて高額で取引されてる。
マグロだって江戸時代は捨てられるほど人気のない魚だったし、初鰹は女房を質に入れてでも食べたいくらい高級魚だった。うなぎや鮎などは庶民の食べ物だった。

数が摂れて安くなるものでも、高く売りたければ付加価値をつける。ブランド化っていうのね。カニでもザガミ(ワタリガニ)は安いが同じ種類の上海ガニは高い。ザリガニは安いがロブスターやたらば蟹になると高い。ズワイガニは越前ガニや松葉ガニになるともうおいそれとたべれない値段になる。

話を本題の転売に戻すが、これらすべて転売ではないのか。
漁師が撮ってきた魚介を漁港で大卸が買い付け、市場で仲卸が値をつけ、小売店が購入する。このシステムは転売だよね。
土地や家を安く仕入れて高くで売る不動産売買。これも転売だよね。
企業の株を買い、高くなったところで売る。投機や投資と言われるこの行為も転売だ。

売れない画家の絵を安く買い付け、高くで販売する。この画廊や美術界のシステムも転売だろう。
ピカソは生前たった1枚しか絵が売れなかったし、モジリアニは飲み屋のツケにデッサン画を渡してた。ゴッホは弟に借金しまくってた。これらの作品は今では信じられないくらい高額になっている。

これと、レアなもの限定グッズを買って高くで販売しようとする行為が何が違うのだろう。店舗で売るか加工して売るかネットで売るかの違いでしかない。

コンサートチケットの転売防止で購入者しか観れないようにしようとしてるが、これだっておかしなことだ。
主催者は席(コンサートを見る権利)を売ってるのであって、購入者が誰に変わろうが問題ないだろう?
えっ?ヤクザなどがダフ行為で高く売ってるのが問題?それは警察の役目であって一般人には関係ない。
えっ?最初から転売目的で購入してる人のせいでファンが買えなくなってる?誰もが手軽に来れるようになんて綺麗事いうのなら、なんでファンクラブだけに販売したりするんだ?それもおかしいだろうよ。

自分たちが10000円で売ったチケットを80000円で売られたから悔しいのか?儲けそこなったとか、儲ける手段を横取りされたから?
コンサートの価値が80000円あると思ってる人がいるのなら、主催者側は初めからいい席を高く販売したりすればいい。ネットで高くで売られてるチケットを買ってでも行きたい人、お金持ってる人は買うだろうし、そのコンサートにその金額は見合わないと思ってる人やお金を持ってない人は買わない。

安くでより多くの人に見て欲しいならコンサート数を増やせばいい。需要と供給のバランスなんだから。ただそれだけの話だろう?
それを転売されたからって、悪者、違法に稼いでる奴みたいに言うのはどうなのよ。

レアなグッズを手に入れてネットで販売することと、普通の流通商売と何が違うのだ?
転売が悪のことのようにメディアは報道するが、それなら骨董の世界はどうなる。土地の売買はどうなる。希少なフィギュアの転売と、希少な魚の転売は何が違う?
売れると思えばより安く手に入れ高くで売る。読みが外れれば売れ残る。

羽生のTシャツを欲しい人は高くても買うだろうし、欲しくない人は値段が安くても買わない。
このTシャツは8万枚販売される予定だから8万人以上のNEEDSがあれば売りきれるし、それ以下のNEEDSだと売れ残る。8万人以上のNEEDSがあれば5000円で転売しても売れるし、人気がなければ1000円でも売れ残る。
ただそれだけのことだ。市長が転売如何の斯うのという話でさえない。

欲しい人はレアなものはお金を出しても欲しいし、興味のない人は全く欲しがらない。
リーバイスのデニムに高額払う人もいれば、ユニクロの服で満足の人もいる。
織部の皿に高額払う人もいれば100均一の皿でさえためらう人がいる。

転売を否定するのは商売や為替、株や投資などを否定するのと一緒だ。
なぜこれが悪のように言われるのかわからない。