GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

オリンピック延期とアメリカ銃社会

2020-03-25 13:32:34 | Talk is Cheap

ようやく決まったか。TOKYO2020の延期。

往生際悪く、東京オリンピックを「通常開催する」と言って譲らなかった森も、「延期はない」と何をムキになってるんだと疑いたくなるような発言してた小池も、本音はホッとしてるだろう。

 

先日も「全世界でこれだけ新型コロナウイルスの影響を受けてるのに、8月に東京でオリンピックなどできるわけがない」と書いた。

日本国内の選考予選でさえ、まだ種目によっては終わっていない競技も多々ある。コンサートやイベントと同じく競技会とかも自粛だ。国体の予選も中止になったり延期になったり、春の高校野球も中止が決まったくらいだ。

ましてや各国で渡航制限や入国措置がとられてるこの状態で、そうやって選手及び関係者は移動するというのだ。外出禁止令まで出てる国の選手はランニングやトレーニングだってままならない。それくらい深刻な状況なのだよ。ベストコンディションに仕上げてこれなかった国の選手は不公平だろ?

 

まぁ、自国のスポーツ状況に合わせて夏のオリンピックを譲らなかったアメリカが折れたんだ。放映権に莫大な資本を投入してきたアメリカが、「延期せざるをえない」ってようやく言ってくれたおかげでIOCもようやく「延期」って言えた。オリンピックがアメリカの言いなりなのは周知の通り。

 

アメリカが折れた理由は、自国のコロナ感染者が一気に増えたこと。イラン、スペイン、イタリア、フランス、イギリス・・・世界各国でどんどん増えててもアメリカはまだ決断できなかった。インフルエンザの患者が3000万人出てても、新型コロナも同じようなもんだろ?くらいにトランプは考えてたのかもしれない。オリンピックを中止にした時の損失の計算をしていたのかもしれない。

 

だが、3月5日くらいにカリフォリニア州で初めてコロナ患者の死亡が確認され、非常事態宣言が出されてからはあっという間にアメリカ全土に新型コロナ患者が増えていった。入国制限、渡航禁止、都市封鎖、移動制限、外出制限・・・。

メジャーリーグベースボールの開幕を延期したくらいだ。家にじっとしてろ、外に出るな。会社に行くな、家で仕事しろ。ブロードウェイが劇場閉めろ、ロデオドライブも店開けるな、とにかく不用意に出歩くな。もう日本のオリンピックどころではない。

 

そして、ようやく東京2020は延期が決まった。

 

アメリカはいろんな国の人間、人種の坩堝のような国。各国からいろんな人が集まり、また出かけていく国である。

大量消費と大量輸出で経済を回してる国。そして大量輸入の国。中国から製品が入らなくなって一番打撃を受けるのは北朝鮮ではなくアメリカかもしれない。

 

そんなアメリカが怖いのはウイルスではない。ウイルスによる、パニックだ。

スーパーマーケットでの、トイレットペーパーやマスク、飲料、食料品の買い占めパニック、これは序章だ。

アメリカ人は普段でもロードサイドオスーパーマーケット(コストコとかね)で、でっかいキャリーワゴンに大量にモノを放り込み、買っていく。1週間分くらいはまとめてストックするのが普通の国民性。

 

しかし、スーパーに食料や物が並んでるうちはいい。買えるうちはいいのだ。

問題は、その食料が店頭に並ばなくなった時だ。

アメリカは日本と違って食料の自給率は高いが、それとて流通が止まってしまえば都市部では不足する。わざわざアイダホやテキサスまで買い付けに行けるのは一部の金持ちだけだ。そしてようやく入ってきた食料品を一般市民がわれさきにと奪い合うように購入するパニックは目に浮かぶ。

 

アメリカは自分の国ではほとんど生産していない国だ。

Made in U.S.A.のものを探す方が大変な国だ。

ということはモノが入ってこなくなる(輸入や海外生産が止まる)と、市場に出回ってるモノが無くなった時点で補充補填されるサイクルが狂う。すぐ欠品するってことだ。マスクとかがいい例だ。

再入荷の見込みがなかったら?少ないものはどうする?分け合うか?いや違うね、モノの奪い合いが始まるのだよ。

 

「困った時はお互い様」ってのは村社会の考えだ。アメリカは村社会ではない、個の集合体だ。

日本が地震など大型天災による災害時に、おとなしく配給の列に並んでたり、文句を言わずに助け合ったり、わけあったり、必要最低限分しか受け取らなかったりするのは、海外で美徳と絶賛される。が、それは、周りが全て顔見知りだからだ。集落知り合いだらけ、見知らぬ人でも家族親戚友人誰かとつながっている。だからだ。後で「みっともない」と思われたくないからだ。

そんな日本でも、村や島で形成されるコミュニティと都市部の人付き合いでは全く違う。お隣さんの顔も知らないなんてのは当たり前だ。

TVの「ポツンと一軒家」で最寄りの集落で地図を見せると「あぁこれは誰々さんの家だ」なんて答えてくれるが、そのようなことは都市部ではほぼ無い。数キロ離れた家の住民を知ってても怖いし、教えたら教えたで個人情報のなんちゃらってうるさい。

じいちゃんばあちゃんから孫まで一緒にとか近くに住んでる核家族でもない。親戚もバラバラ、幼馴染も近くにいない。ましてやマンションのお隣さんは全くの他人だ。助け合うとか分け合うよりも、まず自分の安全とモノを確保だ。

 

ましてやアメリカは、人種も国籍も宗教もバラバラな個の集合体である。自分のために、自分の家族のために、我先にとモノを奪い合うのは目に見えてる。

 

そして、モノが買えるうちはまだいい。

低所得労働者はどうする。この新型コロナ騒動によって飲食店で働いてた人らは解雇か待機だろう。時給よりもチップで生活してたやつらが収入がなくなるってことだ。働くところがないのだから暇を持て余すしかない。なのに外出禁止、イベントも禁止だ。金もない。さぁどうする?

不法入国者や永住権は持ってても保険や年金が受けれない人はいっぱいいる。これまた新型コロナにかかった疑いがあっても病院に行かない理由だ。インフルエンザ患者と同じく、新型コロナウイルスの潜在感染者(サイレントキラー含む)はまだまだアメリカには多いと思う。

金はない、病気になってしまった、仕事もない、希望もない・・・。自暴自棄にならないか。日本でも感染してるわかってて外出してスナック行ったバカがいただろ?(彼は死んでしまったので冒涜するのも気がひけるが)

 

モノがなければ他人から奪ってしまえとなるだろう。日本の戦国時代の領地の奪い合いも、米が不作だったからってのが最大の理由だ。

 

ミリオネア(金持ち)は先に買い占めストックしてさっさとシェルターに逃げ込むだろう。

でも、閉まってる店には、倉庫には、金持ちの家には、物があるはずだ。って。ロスの暴動の時みたいになるのかな。

俺たちには明日はないんだって映画じゃないけど、もうそうなったら止めるの困難よ。ナイフくらいならまだ可愛い。ハンマーや斧、そして銃を使うだろう。なんてたってアメリカは銃社会だからな。そうなったらもう警察じゃなく軍隊が必要だ。

実際、この新型ウイルス騒動で、銃や弾薬が圧倒的に売れてるらしい。金持ちは自衛し、貧乏人は奪うために。

我が身は自分で守る。家族を守るために武装する。そのために銃は正当な武器だ。だからアメリカでは普通に売られてる。

 

大袈裟だって?

呑気だね、平和脳だね。

昨年公開されたターミネーターの新作でも描かれてたじゃない。リンダハミルトンがアーノルド・シュワルツネッガーを訪ねて行くシーン。シュワちゃんの家の離れには銃やマシンガン、ライフルからバズーカまで用意されてた。

シュワちゃんはターミネーター(Tー800)なのになぜ武器を?と訝しがるリンダ。シュワちゃんはこう答える。

「最後の審判に備えたんだ」

「ターミネーターにはこんな武器が効かないのはわかっている。足止めくらいにしかならない」

「でも、一番怖いのは民衆のパニックだ」

「出来れば使いたくないが、家族を守るためにはしょうがない」

殺戮マシーンであるターミネーターが30年の間に心変わりしてることを表す名シーンだが、これがアメリカ社会、いや世界の常識なのだ。

 

日本でも航空会社やホテルをはじめとした観光業、飲食業、物販店、イベント会社軒並みやられるだろう。インバウンド景気に踊らされてた時は良かったが、ただでさえ観光客が減ってるところに外出禁止だ、移動制限だってなってくるんだからな。その影響は今度は工場や一般企業にまで及んでくるだろう。

もうそうなったら旅行どころではない。インスタ映えどころでもない。明日の仕事も、お金も、食料さえやばくなってくる。そんな時にオリンピックなどできるわけもない。

 

補償がどうなるのかはわからない。会社などには助成金や融資制度、個人には一律10万円とか商品券とか言ってるが、まだまだ決まらないだろう。なんてったって、まだ新型コロナは猛威をふるってどんどん感染者を増やしてる最中だからな。今決めても無駄だし、決めようがない。焦っても仕方がない。

 

でも、焦る奴は出てくる。

日本に大量に来てた外国人労働者。彼らが収入が途絶えたらどうなる?

それだけじゃない、指示や指導をハラスメント、我慢や辛抱をブラックって言葉に都合よく置き換えてる奴らが好きかってしだすぞ。

日本で今、「なんで自粛しなきゃいけないんだ」「経済回さなきゃ」「老人や病気持ちしか死なないんだろ?」「ただのインフルエンザの変形に怖がりすぎ〜」なんて言ってる奴は、この先真っ先にパニックになるだろう。映画とかドラマだと、こんな奴が真っ先に餌食になる。

 

それでも世界各地で起こる暴動やデモに比べりゃましかもしれない。

下手すりゃ、国が倒れたり、無法になるかもしれない。突飛もないことだが他国に奪いに行くかもしれない。

未だ感染者0と言い張ってる刈り上げ坊や率いるあの国ならあり得る。

コロナ発生地と名称を発端に中国とアメリカが戦いだすかもしれない。

オリンピックができるとか、できないとか、もはやそんなレベルではない。

中止になってよかった。