ジャケ買いってあるよね。
全然知らないアーティスト(グループ)の全然知らないレコード(CD)なんかを買う時、またはそのアーティスト(バンド)のアルバムを初めて買う時、どれを買っていいか悩んだらタイトルとジャケットで直感で買うの。これが結構ハズレがないから不思議なのだよ。だからジャケットデザインはかなり大事。ベスト盤を買うという安全策もあるのだが、ベスト盤って大抵ジャケット手抜きデザインだからね。
そしてジャケ買いが成功したらその後はそのアーティストの作品や、そのジャケットデザインを手がけた人の他のジャケット見つけたらまた買ってしまうという、エンドレスな迷宮に入る。困ったもんだ。
ピンク・フロイドの【原子心母】やレインボーの【治療不可】をはじめ、UFO、AC/DC、YES、ツェッペリンなどのジャケットデザインをしたヒプノシスの作品は買い漁ったなぁ。日本も松任谷由実の【昨晩お会いしましょう】や【VOYGER】なんかがそうね。
本でもこれをやってしまう。その人の本など読んだことないのに、タイトルとカバー(表紙)に惹かれて買ってしまう。そしてその後はその作家の本はもちろん、カバーデザインを手がけた人の本を探してしまう。
アジカンのアルバムデザインをずーと手がけてる中村佑介氏のイラストが、カバーデザインされてたってだけで森見登美彦さんの【夜は短し歩けよ乙女】を買って、以後はまってしまう。【謎解きはディナーの後で】(東川篤哉)もそうだな。
和田誠さんはジャケ買いの先駆者。
子供の頃から星新一さんが好きだった。ある本を境にカバーデザインが真鍋博さんから和田誠さんに変わったの。すると不思議なもので星新一さんのブラック・ジョーク・ショート・ショートが今までと違ってなんかマイルドになった気がするの。真鍋博さんのカバーデザインだと「摩訶不思議」って言葉がぴったりだったのだが、和田誠さんのカバーデザインだと「白昼のニヤリ」って感じ。(どんな感じだ、表現下手だなぁ)
当時、和田誠さんがカバーデザインを手がけてた作家に豊田有恒さんがいる。この人の本はそれまで読んだことなかったのだが、和田誠さんのデザインだったのでジャケ買い。この人も一時期ハマったな。
最近だと(と言ってももうかなり経つが)小泉今日子のエッセイ【黄色いマンション 黒い猫】。これも和田さんデザインだったのでジャケ買いしてしまった。普段ならこういったタレントエッセイ本は買わないのだがね。
何曜日のか忘れたけど、テレビの洋画劇場(ロードショー)のタイトルバックも和田誠さんだったような気がする。阿川佐和子さんがナビゲーターを務める【サワコの朝】も何気に見たら、オープニングのタイトルバックが和田誠さんだったので、それからずーと見てる。先週は吉永小百合さんがゲストだった。
訃報ニュースで改めて気づいたけど、週刊文春の表紙も和田誠さんだったのね。何気に見てたから気づかなかった。週刊誌独特のごちゃごちゃした文字列がないのは和田誠さんの美的感覚がそのまま反映されてるのかな。和田さんは文庫本や単行本の裏表紙についてるISBNコードも、バーコードではなく文字列のみの指定だ。バーコードは美しくないと思われてたのかな。
平野レミさんの旦那さん、TRICERATOPSのボーカルの親、上野樹里の義理の父・・・。人によって和田誠さんの人物像は違うだろうけど、俺にとってはジャケ買いしてしまうイラストレーターだ。
ご冥福をお祈りします。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます